自分は割と物欲がない方で、傍目からは倹約家に見えたりするようですが、実は数年前から欲しいものがあるんですよ。
欲しいのだけど、別に必要不可欠ではないので長らく放置されておりました。
それは何か。
『ゆうちょ銀行の口座』なんですね。
「いや、作ったらええやん」という話なのですが、実は既に一つ持ってるんですよ。
「じゃあ、それ使ったらええやん」。確かにごもっともな指摘でございます。
「ごもっともならごちゃごちゃ言うなや!」。すみませんすみません、そうなんですよ、使ってもいいのだけれど、心情的に使いたくない理由があるのです。
今宵はこの理由とともに昔話を書こうと思いますので、お時間ある方はお付き合いください。結論から言いますと、2個目の口座を作りました。
僕の話を聞いてみませんか
ゆうちょ銀行のメリット
ことの発端は僕が18歳のとき。ようやく海から陸に上がって、二足歩行を始めた頃のお話だ。
東京で一人暮らしを始めることになり、親から有難いことに毎月仕送りをしてもらえることになった。
金額的には家賃、光熱水費、食費を入れて少し余るくらい。遊ぶ分は自分でバイトするなりして補いなさいよーというもの。
その仕送りが振り込まれる口座は僕が唯一持っていた『ゆうちょ銀行』である。
ちなみに大学を卒業してからは一度も手を付けておらず、給与振込口座(初バイトのときに振込口座として作ったもの)と貯蓄用の口座(就職前に作ったもの)としてメガバンク二つにお世話になっている。
ゆうちょ銀行の特色として、
ゆうちょATMの利用手数料
ゆうちょのキャッシュカード・通帳でゆうちょATMをご利用になる場合は、曜日・時間帯にかかわらず利用手数料はかかりません。
※通常払込み、振込(他の金融機関口座への送金)等をご利用になる場合は所定の料金が必要です(料金一覧:貯金・為替-ゆうちょ銀行)。
下線太字部分が強い。
学生の頃なんていうのは、財布に大金を入れておいたらすぐに使ってしまうのが通例である。
そのため、頻繁に五千円だとか三千円だとかの少額を引き出すことになるのだ。
ここに手数料が一切かからず、しかもゆうちょ銀行窓口、ATMは全国至る所に存在しているというのは最大のメリットと言える。旅行や出先で駅前をうろつけば大体あるのがゆうちょATM。
日本全国どこでも使える
僕は数年前から小旅行感覚で東京都・奥多摩に顔を出すことがあるが、あの辺りは一般の商店がそもそも少ないが、コンビニすらも希少だ。
「奥多摩 コンビニ」と検索していただければわかるが、セブンイレブンが2軒と半個人商店チックなコンビニが数件ヒットするのみで、ここを当てにするのは危険である。大体駅から遠いのだ。
「奥多摩 ATM」と検索すると、さらなる恐怖が味わえる。2件。ゆうちょ銀行と多摩信用金庫のみ。
これは郵便局あるいは信用金庫敷設のATMを指しているものと考えられる。
青梅線沿線を探してみると、まず終点の奥多摩に『奥多摩郵便局』、古里駅に至近に『古里郵便局』。
ちょっと寄り道、丹三郎
ちなみに古里駅にお越しの際には、『丹三郎』という美味しい蕎麦屋さんがあるので、是非味わってほしい。
店舗は日本家屋風で、夏の暑い時期に行っても通り抜ける風が涼を感じさせる。土日は待つこと必至なので、予約がおすすめ。
肝心の蕎麦は文句なく美味しく、歯ごたえと香りがたまらない。いい水を使っているんだろうな。天ぷらもつけて食べてほしい。
そうそう、特に蕎麦掻が絶品で、熱々もちもちを絶妙な醤油の塩加減と鰹節の風味でいただくのだが、蕎麦掻の概念が変わると思う。
話は逸れに逸れたが、古里駅にも郵便局があったのか。あったような・・・。
そして、御岳駅前にも『御岳郵便局』。ここまでの流れから純粋なATMはなく、郵便局敷設ということになりそうだ。
また横道に逸れてよろしいか?よござんすか?よござんすね?
御岳駅。青梅線に乗っていると明らかに登山の恰好をした人を見かけるが、そのほとんどの人が御岳駅で降りていく。
利用状況
2014年度の1日平均乗車人員は683人である。近年の登山ブームや、御岳渓谷のボルダリングが注目されたことなどにより増加傾向にあったが、東京都のJR駅の中では白丸駅、鳩ノ巣駅、川井駅、軍畑駅、古里駅、沢井駅、石神前駅、二俣尾駅、宮ノ平駅に次いで10番目に利用客数が少ない(御嶽駅 - Wikipedia)。
偏りを感じる。青梅線、尊い。
御岳駅周辺は遊歩道が整備されたり、多摩川をカヌーで下っていたりと自然を満喫するには最適なスポットである。
以前この時期くらいに訪れたときには、駅前で流水にさらされた山葵が売られていて、ついつい物珍しくて買ってしまった。
ちょっと寄り道、小澤酒造
さぁ、再開しよう。
沢井駅前にも郵便局がある。名前は・・・、『沢井駅前郵便局』。
ここは知っている。なぜなら、青梅線で一番降りているのが沢井駅だからだ。語ってもいいだろうか。お、抑えられない。お兄ちゃん!語るね!
ここは秘密の場所にしておきたいくらいなのだが、せっかく奥多摩を語る機会を設けられたので、紹介しておきたい(この記事、ゆうちょ銀行のこと書くんだよね・・・?)。
日本酒を飲まれる方は、『澤乃井』というブランドをご存知かもしれない。
僕は3年位前からちょこちょこ小澤酒造に通っている。
ガーデンテラスのようなところで多摩川の清流を眺めながら食事を楽しんだり、直売所で日本酒を買ったりできる。
失礼な話だが、料理の方はあくまで学食や社食のような調理スペースで流れ作業で作られるものであって、凝ったものは出ないのだが、これが美味しいのなんの。
食事は料理そのものの味や見た目も大事だが、食べるシチュエーションも大きく影響しているということを再認識させられる。
味噌こんにゃく、もつ煮込み、おでんに冷ややっこ。ああ、呑兵衛には堪らないラインナップ。夏にはソフトクリームや甘酒のかき氷が出る。とどめの卯の花饅頭と酒饅頭。
しかし、ここの一押しは「湯葉入り蕎麦」だ。
日本酒と蕎麦。ほろほろした湯葉が風情を感じさせる。
何でもない蕎麦なのだけれど、日本人でよかったなと感じる瞬間がそこにある。
↑フォルダを漁っていたら出てきた写真。
また、ガーデン横に「利き酒処」がある。
ちょっと小高くなった所に立つ建物の2階でのんびりお猪口で日本酒を味わえる。大体1杯300円から500円で、会社のロゴが入ったお猪口が付いてくる。
↑小澤酒造さんのホームページからお借りした画像。書いてある通りおかわりは100円引き。
ちなみにお猪口は同じものに次いでもらうことになる。つまりお猪口代が100円ということだ。あえて100円引きにせずにお代わりして、このお猪口を10個集めると・・・。
澤乃井と言えば『蔵開き』なのだが、これについて話し出すとそれだけで一つの記事になるので、またの機会にしよう。
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ペースを速めよう。
軍畑、二俣尾、石神前をパスして、日向和田にある『吉野郵便局』。おや、名前の傾向が変わってきたぞ。
宮ノ平を抜かして青梅。『青梅上町郵便局』と『青梅住江町郵便局』の二つ。
この辺りまでくると駅前に3つ4つは当たり前になってきて、郵便局敷設ではない単独のATMもちらほら出てくる。
そのようなわけで、他の金融機関のATMが利用できない状況で一筋の光明となるのは「ゆうちょ銀行」に他ならない。
最近は電子マネー決済も増えているが、ATMがないようなところは大体電子マネー決済もできなかったりするので、僕はこの強みを強く推したい。
ゆうちょ銀行の他のメリットと言えば、ゆうちょ銀行同士の振込みが無料というところ。
他の金融機関でも一定の要件のもとに振込手数料が無料になったり、そもそもゆうちょ銀行同士の振込みがケースとしてあまりないように感じるので、メリットといえばメリットくらいの位置づけだろうか。
あとは個人的に貯まった小銭をATMで入金できるところもいい。
現在我が家にも謎の小銭爆弾が大量にあるので、これらをまとめて入金できるのは嬉しい。他の銀行窓口でもできるだろうが、窓口でやろうとすると他の方の迷惑になるし、そもそも窓口で断られるケースもありそうだ。
遅すぎた本題
メリットは上記のようなものだろう。
それで、遅すぎる本題であるが、僕がゆうちょ銀行に口座を持っているにもかかわらずもう一つの口座を作りたい理由は、最初のゆうちょ銀行口座が仕送りという思い出深いもので、親の庇護のもとに送った学生生活はとうの昔に終わっているわけで、大げさに言えば放置しておいた過去との決別・独立のためにあえて現在必須とは言えないゆうちょ銀行の口座を作っておきたいと考えたからだ。
そもそもの話として、複数口座を持つことが許されるかという問題があるが、『原則としてダメ』。
それはそうだ。どこの金融機関でも複数口座を開設することを奨励していない。ただし、口座ごとに用途が異なっていれば普通に複数の口座を作ることができる(生活資金と貯蓄用とか)。
今回もその例に従って「用途が違います」と言ったらあっさり作ることができた。
「お客様、既にお口座をお持ちのようですが、今回はどのような用途でお作りするのでしょうか?」
「おっと、お嬢さんそれは愚問ですね。過去と決別するためです(キリッ」
などと言ったらその郵便局を使えなくなるため、「普段使いの口座が欲しくて・・・はい。」と言葉を濁してきたのは、また別のお話。
せっかく便利なゆうちょ銀行の口座を手に入れたので、何かを目的にした貯金口座にしようかと考え中。
この場を借りてではありますが、学生時代に仕送りをしてくれた両親に対して感謝の気持ちを申し上げます。
本当にありがとうございました。あの口座はもう使わないと思うけど、大事に大事に持っておきます。