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【『アントマン』ネタバレ感想】Marvelといふもの(弐)

以前、アイアンマンの記事を書きましたが、今回は『アントマン』についての感想を書きたいと思います。

↓『アイアンマン』についてはこちら。

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アントマンのあらすじ

 主人公は前科者

主人公であるスコット・ラングは三年前の窃盗により服役していたが、刑期を終えて晴れて自由の身となった。

彼は更生を誓い、職を見つけるが、前科者ということが分かった途端に即解雇。世間の風は冷たいのだ。

また、スコットは離婚しており、一人娘の親権は元妻にある。

大好きな娘のために面会に向かうも養育費の未払いを理由に門前払される。皮肉にも元妻の婚約者は警察官。泣きっ面に蜂である。

唯一の救いは、娘のキャシーはスコットのことを慕ってくれていることだ。このまま面会ができずに娘の心が離れてしまうのだけは避けなくては!

仕事は続かず、何事もうまく行かない。どん底のスコットは昔の窃盗仲間であるルイス、デーヴ、カートの三馬鹿たちと共に再び犯罪に手を染めてしまうことに・・・。

 

盗みに入ったまでは良かったが

盗みのターゲットは、とある富豪の家。しばらく留守にするという情報があり、金目のものを根こそぎ奪うチャンスである。

スコットは軽い身のこなしで目的の金庫に到達する。

それは生体認証のみで解錠する作りの堅固なものであったが、持ち前の知識と機転によりあっさりと潜り抜けることに成功。

さてさて、どんなお宝が待ってるのだろう。

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 なんだ、このダサい着衣は。

金庫の中身が金目のものでないことに落胆しながらも、スコットは試しにこのコスチュームを着てみることに。

するとどうだ、みるみるうちに彼の体は小さくなってしまったではないか。

バスタブのお湯に飲まれそうになったり、ネズミに食べられそうになりながらも必死に逃げるスコット。

なんとか元の大きさに戻り逃走を図るが、屋敷を出ると警察官に囲まれ、あえなく御用。

ここでスコットの身柄引受人に名乗りを上げたのは、盗みに入った屋敷の主人であり、天才科学者のハンク・ピムであった。

 

 仕組まれた罠

 ハンクの話を聞くに、彼は潜入の能力に長けた人間を探すためにわざと屋敷を留守にして侵入者の来訪を待っていたというのだ。

何故そのような人物を探していたかといえば、ハンクが長年密かに研究してきた物質縮小技術について、彼の弟子であるダレンがその謎を解き明かして悪用する兆しが見えたため、これを阻止してほしいというものである。

この暗密事案を遂行することができるのは、体を自由に縮小させられるコスチュームを使いこなす者、“アントマン”の力が不可欠だ。

ハンクはスコットの潜入能力の高さを見込み、アントマンになってくれないかと頼み込む。とんでもない大役を任されそうになったスコットは尻込みしてしまうが、『娘のためにヒーローになってみないか』と諭され、渋々これを承諾する。

とはいえ、スコットはただの小悪党のおじさんであり、戦闘技術は持ち合わせていない。

そこでハンクの娘であるホープが修行に付き合うことに。

最初のうちはスコットにあたりが強かったが、徐々に2代目アントマンとして存在を認めていく。

ちなみに初代アントマンはハンクとその妻ジャネットである。この二人がまたカッコいいんだ。

亜原子を超えていけ・・・。

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総評  

素晴らしく良くできた優等生

作品全体を通して非常にテンポよく、シリアスとユーモラスが小気味よく交錯していて退屈させない話の運びである。どちらにも傾きすぎないバランスが気持ちいい。

これは基本的にプラスの要素なのであるが、あまりにテンポが良すぎて逆に単調になってしまっているきらいがないでもない。山なしオチなしの単調さなのではなく、高止まりしつつの単調なので、次元が違う話ではあるけれど。

例えば、ホープとの修行シーン。鍵穴を走り抜けたり、体術を習得したり、相棒である蟻たちを操ったり。蟻を操作してコーヒーに砂糖を運ぶ修行なんて小洒落ている。

最初こそ失敗するものの、要領よくトントンとマスターしていくスコット。

蟻と心を通わせるなんて一朝一夕ではできないぞ。彼にその才能が元々あったならいいのだけれど。

どこかでとんでもなく躓いて、「もうやだ!ヒーローなんて無理無理!おうち帰る!!」くらいのうだうだをひとつ差し込んだ上で、苦労してその技能を習得するだとかはあってもよかったのかもしれない。

テンポが良すぎてブレーキが欲しくなるというのも贅沢な話だ。それだけよくできている。

潜入捜査の醍醐味

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よくあるヒーローものと違って、アントマンはあくまで潜入捜査や隠密行動がメインになるため、派手なドンパチは少なく、戦闘用ではないアントマンが死線を潜るために知恵を絞って工夫するところに様々な可能性を見出すことができる。

小さくなるだけでなく、元の姿にいつ戻るかという駆け引きがポイントである。

あと忘れちゃいけない。蟻が可愛い。蟻かわいいよ、蟻。アントニーがやられた時は絶望してしまった。

緩急のつけ方がうまい

数少ない戦闘シーンも見ものであり、特に最後のダレン(兵器仕様のコスチューム着用)戦のミニマム対決は当人たちにとっては等身大のやるかやられるかの真剣勝負なのだが、俯瞰して見るとベーゴマををぶつけ合う程度のシュールさである。この緩急のつけ方がうまいのだ。

けちはつけたが、非常に高水準でまとまった作品であり、笑いあり、シュールあり、爽快シーンありの『ふつーのおじさんのヒーロー物語』からは目が離せなかった。

現在ちょうどアントマン最新作の『アントマン&ワスプ』が上映されているので、行っちゃうかも。かもね。

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