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【『マイティ・ソー』ネタバレ感想】Marvelといふもの(七)

2018年からコツコツ鑑賞を続けているMarvelシリーズも通算7作目になりました。

今回観たのは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品の4作目にあたる『マイティ・ソー』。

時系列的に言うと、①『アイアンマン』

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②『インクレディブル・ハルク』

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③『アイアンマン2』

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アイアンマン2のラストで空から高速で落下してきた物質を調査しているシーンが映し出されましたが、これが『マイティ・ソー』における重要アイテム❝ムジョルニア❞だったんですね。

それでは早速、映画『マイティ・ソー』のネタバレ感想を書いていこうと思います。

 

『マイティ・ソー』あらすじ

「アスガルド軍」対「氷の巨人」

マイティ・ソー

神々の住む世界❝アスガルド❞の王であるオーディンは、❝ミッドガルド(地球)❞を守るために軍を率いて氷の巨人ラウフェイが支配する❝ヨトゥンヘイム❞と戦争を繰り広げていた。

激闘の末、アスガルド軍が勝利し、休戦協定を締結する。

作中でオーディンは右目に眼帯をつけているが、これは氷の巨人との戦いで負ったものである。主神オーディンに癒えることのない傷を負を負わせているという点からも氷の巨人の圧倒的な戦力を感じさせる。

休戦協定締結の際、オーディンはヨトゥンヘイムにおける氷の巨人の力の源である『箱』を回収し、アスガルドで保管することとした。

ところが、肝心の中身❝テッセラクト❞を地球に置き去りにしてきたのだ。

オーディン、何しとるん。

 

本作の主人公『ソー』登場

時は流れ、現代。

オーディンの子である『ソー』の戴冠式がしめやかに執り行われている。

その最中、氷の巨人達が『箱』を取り返すべくアスガルドに侵攻してくるが、宝物庫の番人であるデストロイアーの働きにより氷の巨人の目論見は阻止される。

デストロイアー、有能。というか、その箱空なんだけどね。

ここで終わればよかったものの、ソーは休戦協定の反故を口実に、仲間たちを引き連れて独断でヨトゥンヘイムに攻め込んでしまう。

オーディンと対等にやり合うほどの力を持つ氷の巨人に押されるソーの軍勢。

途中オーディンの介入で戦争再開という最悪の結末は逃れたものの、ソーの軽率な行動や周囲の状況を冷静に判断することのできない未熟さから、オーディンは彼をアスガルドから追放してしまう。

 

地球に落ちたソーは・・・

アスガルドから地球に落とされたソーは、地上到達早々天文物理学者のジェーンの運転する車に轢かれてしまう。衝撃的な出会い。

ソーは痛がる様子もなく、ピンピンしているが、ジェーンには到底理解できないような展開の様子をぶつぶつ呟くようなヤバい人でしかない。

神様なのだから無傷も納得と思いきや、オーディンはソーから神の力を取り上げており、彼はただの人間になってしまっていた。

父親としての情けか皮肉か、ソーの武器である❝ムジョルニア❞も地球に墜落させたが、人間であるソーに到底扱えるものではない。

アイアンマン2のラストがここに繋がるわけだ。

人間の力では持ち上げることすらできないムジョルニア周辺はある種観光地のような賑わいを見せている。

 

一方、アスガルドでは・・・

ソー無き今、オーディンの座を継ぐのはソーの弟である『ロキ』しかいないと思われたが、オーディンにその意思はないようだ。

それどころか、ロキはアスガルドの宿敵である氷の巨人の長ラウフェイの子であり、彼を自分の子として育てることで平和の象徴にしようとしていた事実をオーディンの口から直々に伝えられる。

元々出来がいいとは言えないソーを特別扱いするオーディンに反発しながらも、尊敬する父になんとか認められようと努力を続けていたロキ。

ソーに対する劣等感から疑心暗鬼になっていた彼は、自身が戦争の名残として利用されていたと憤り自暴自棄となる。

タイミング悪く、力を使い切ってしまったオーディンは回復のために眠りについてしまう。これを奇貨としてロキは勝手にアスガルドの王を名乗り始めてしまうのだ。

ちなみにソーを煽って氷の巨人との戦いを仕向けたのはロキである。そして、オーディンから告げられるまではロキ自身も知らなかった、彼が氷の巨人の血を引いているという事実の伏線もこの戦いの中に現れている。

 

ソー対ロキ

ロキはラウフェイと手を組み、オーディン殺害計画を企てる。

アスガルドでのロキの横暴な振る舞いに耐え切れなくなったシフとウォリアーズスリー(冒頭でソー、ロキと共に氷の巨人と戦った仲間たち)が地球を訪れ、ロキの悪行の全てが暴かれていく。

ソーはアスガルドへ帰還することを誓うが、これを阻止するためにデストロイアーが送り込まれる。

人間の能力では到底デストロイアーに太刀打ちできないが、ソーは地球での滞在により自身の今までの軽率な言動を見つめなおし、急激な精神的成長を遂げ、自己中心的な性格から自己犠牲・他者本位の神に相応しい人格を形成していた。

これをアスガルドから見ていたオーディンは再びソーの身体に神の力を宿らせ、ムジョルニアもこれに呼応するように彼の頼もしい相棒として復活するに至った。

神の力を取り戻したソー対ロキの最終決戦である。

ソーとロキ

←ロキ          ソー→ 

感想

正直なところ、観る前は「Marvel作品は科学の粋を集めたヒーローが活躍する映画だから、神が出てくるなんておかしいよなぁ」「物語にどう絡んでくるんだ・・・」と不安な要素しかなかったが、個人的には今まで観たMarvel作品の中でも1,2を争うほどにお気に入りの作品になった。

登場人物、世界観については固有名詞だけを拾ってみても北欧神話をベースにしていることが分かる。

タイトルの『Thor』は英語読みでソー。北欧神話の原点で用いられる古ノルド語ではソール、日本語表記の「トール」が馴染み深い。

武器の「ムジョルニア」も「ミョルニル」という表記の方が耳慣れしている。

「ミョルニル」は古ノルド語で❝粉砕するもの❞の意。

ブーメランのように使用者の手元に戻ってくる性質があり、柄が短い。これは作品に出てくる「ムジョルニア」も忠実に再現されている。

義弟のロキも邪悪で狡猾という北欧神話上のロキと大きく重なるところであり、アスガルドの神々の敵である「ヨトゥン」の血を引いている点も同様である。

ちなみに北欧神話ではラウフェイは巨人ファールバウティの妻である。

このように北欧神話を読んだことがある、あるいはどこかで齧った方は作中でニヤリとするシーンもあるので、そういった点でもおすすめである。

物語の結末についてはここで書くことはしないが、ロキの行動原理はわからなくはないというのが正直なところだ。

もちろん方法としては過激であるし、許される行為ではない。

しかし、実力はあっても兄の存在が目の上のたんこぶであり、常にコンプレックスを抱いていた。

そして、尊敬の対象である父が自分を跡継ぎにしないのは、彼が宿敵の子であり、休戦協定の象徴に過ぎない存在であったと知らされた時の絶望は言葉にできないだろう。

ラウフェイと手を組んでオーディンを殺害しようとしているが、ロキの心中としては「オーディンに対する怨恨」よりも「尊敬する父の愛情を一心に受けたい」という承認欲求が大部分を占めていたと考えると切ない。

あとは主人公のソーの外見について一言言わせてほしい。

メイプル超合金のカズレーザーにしか見えないよ。

ソー

 

まとめ

元々北欧神話が好きなこともあるが、テンポよく進むストーリーや登場人物の行動原理や心情の機微をうまく描き出している作品である。観る前の穿った考え方は吹き飛んでしまった。

今後のMarvel作品にどのような形で絡んでいくのかは気になるところである。

先にも書いたようにアイアンマンとは世界線が繋がっているし、S.H.I.E.L.Dのコールソンも物語に深く関与している。会話の中でγ線の研究の話が出てきたので、これは『インクレディブル・ハルク』のブルース・バナーのことだろう。

まだまだ先は長いけれど、追いかけていくぞ。

↓過去のMarvel視聴記事はこちらから。

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