2019年8月2日(金)にドラゴンクエスト5を題材にした『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の公開が決定したということで、界隈がにわかに賑わっております。
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まさかドラクエ5が映画化するとは思っていなかったので、往年のドラクエ5ファンを自負している僕としても非常に喜ばしいニュースです。
映画化おめでとうございます。そして、ありがとうございます。
ドラクエのナンバリングタイトルの中で最も思い入れのあるゲームが5でして、当ブログでも関連記事をいくつか書いてきました。
www.utakata-radio.com
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ドラクエ5といえば「モンスターを仲間にすることができる」というシステムの他に「主人公が結婚する」という要素が独特なものとして用意されています。
一言で結婚と言っても、SFC版・PS2版では「ビアンカ」と「フローラ」の二択。
DS版ではここに「デボラ」という第三勢力が登場し、❝嫁を誰にするか❞という問題が発売から30年近く(DS版からは10年)経った今も盛んに議論されているところであります。
そこで今回は、映画公開前にある意味アンタッチャブルといえる「ドラクエ5嫁問題」についてひと通りの整理をしておこうと思います。
ちなみに僕はビアンカ一択です。
ややビアンカ擁護派に寄りながらもできるだけフラットな立場で筆を進めるのが最低限の礼儀だと考えております。
ドラクエ5嫁候補概要
ビアンカ
(ビアンカ | DRAGON QUEST Wiki | FANDOM powered by Wikia)
主人公より2歳年上の幼馴染。アルカパで宿屋を営むダンカンの娘である。
ちなみにダンカンは実の父ではなく、赤ん坊のときに山中で拾われて彼の娘として育てられている。
主人公が父親のパパスとともにアルカパを訪れた際にビアンカと出会うことになるが、彼らが会うのはこれが初めてではない(時期は明らかではないが過去に交流があったことが示唆されている)。
2人はアルカパの町でベビーパンサーが子供たちにいじめられているのを発見。
レヌール城というお化け屋敷でお化けを退治してくればベビーパンサーを解放するという条件を提示されたことから、パパスとダンカンの目が離れる夜に宿を抜け出してお化け退治に向かう。
主人公との再会はそれから約10年後となるが、この間にダンカンが体を壊してしまったことが原因で療養のために山奥のカボチ村に移住する。
なお、移住後に母親を病気で亡くしている。
子供の頃は、いじめられているベビーパンサーを助けるために主人公を引っ張って夜のレヌール城に忍び込むなど優しく活発な性格であり、成長してからも明るくおおらかで気立てがいいことから村の男性陣を始めとして評価が高い。
フローラ
(フローラ | DRAGON QUEST Wiki | FANDOM powered by Wikia)
サラボナの富豪ルドマンの娘。こちらも赤ん坊の頃に拾われて実の子同様に育てられている。
ビアンカとフローラは天空の勇者の子孫であることが後々判明することになるのだが、この二人の関係性は作中で言及されない。
主人公がサラボナを訪れる直前まで、花嫁修業として修道院で8年間(リメイク版では6年間)も過ごしていた。
8年間の花嫁修業というのは明らかに異常である。
一応表向きは花嫁修業ということになっているものの、実はフローラが幼い頃に占い師から告げられた「数奇な運命に立ち向かうためにも心を強くしなさい」という言葉から心を鍛える修練を積んでいたのだ。
この修練を終えてサラボナに戻ったフローラであったが、矢継ぎ早にルドマンからお見合い話を持ち掛けられる。
フローラは内心主人公に好意を寄せていたので、縁談には極めて消極的だったが、まさかそこに主人公が現れ、しかも結婚候補に名乗りを上げたのだから驚きだ。
一気にフローラの結婚が現実的になる。
ルドマンが娘の結婚相手に課した条件は、『水のリング』と『炎のリング』の入手。
過酷なダンジョンの奥深くにあるリングを手に入れることができる強い男を婿にする、そう考えた。
主人公は魔王討伐のために『天空の盾』が必要であり、これを手に入れるには「フローラと結婚してルドマンから家宝の盾を譲り受ける」というプロセスが必要である。
ここだけ切り取ると、フローラのおまけが天空の盾なのか、天空の盾のおまけがフローラなのかという倫理の問題に発展しそうだが、なんとこの盾、誰を花嫁に選ぼうと主人公のものになるのである。
フローラの性格は、富豪のお嬢様にありがちな高飛車でワガママといったような要素は一切なく、どこまでも上品でお淑やか。天然ボケな部分も見られるが、一本真っ直ぐな芯の通った強い女性である。
ちなみに主人公が最初にフローラに会ったのはゲーム冒頭の船の上であり、特段会話を交わしたりはしなかったのだが、フローラ曰く「会った瞬間ひと目惚れした」そうである。
「私の帰る場所はあなたのいる場所」は名台詞。
デボラ
(デボラ | DRAGON QUEST Wiki | FANDOM powered by Wikia)
DS版で追加された花嫁候補の1人だが、贔屓目に見ても「無理やり追加してみました」感が拭えないので、基本的にドラクエ5の花嫁候補はビアンカとフローラの2人であり、あくまでマイナーチェンジ的な追加要素という前提で話を進めていきたい。
デボラはルドマンの娘であり、フローラの姉に当たる。
デボラもルドマンの養子として育てられており、血のつながりはない。彼女も後々天空の勇者の子孫であることが判明するが、花嫁候補3人が全員養子かつ天空の勇者の子孫という点でかなり無理やり感が出てしまう。
性格はフローラと正反対で、どこまでも粗暴で高飛車でキツさが目立つ。これ呼応するようにド派手な外見でセクシー路線を行くなど独自の世界観を持ったキャラクターである。
キャラ性能を比較する
ステータス
「内助の功」という言葉があるが、花嫁に選ばれた女性は共に冒険し、戦闘にも参加できるようになる。
ドラクエ5は強力な仲間モンスターをパーティに組み込むことができるため、大体2人の子供の「勇者(男の子)」「勇者(女の子)」「仲間モンスター」「仲間モンスター」の4枠に落ち着くことが多いように感じている。
それはそれとして、3人の花嫁候補の最終ステータスを比較してみることにする。
【ビアンカ】
HP511 MP510 力140 素早さ255 身の守り150 賢さ255 運の良さ255
【フローラ】
HP510 MP510 力130 素早さ255 身の守り170 賢さ255 運の良さ255
【デボラ】
HP511 MP435 力217 素早さ255 身の守り190 賢さ235 運の良さ255
HP、素早さ、運の良さは横並び。身の守りも賢さも誤差の範囲といえる。
大きく差が出ているのが力のステータスであり、デボラが突出している。
花嫁候補たちの最強武器は『グリンガムの鞭』であるが、これを最大限に活かせるのはデボラということになる。
デボラはパワータイプに分類されるのか、ローブ等の魔法使い系の装備を身に着けることができず、防具の幅は比較的狭い。
ちなみにデボラは会心の一撃が出やすい『魔人の金槌』を装備することができ、素早さと相まってメタルキラーを務めるのに適任と言える。
他の装備品についてはさほど差はないため、ステータス面で見れば物理方面以外は同じような使用感である。
一応序列をつけるとすれば、
デボラ>ビアンカ≒フローラ
といった具合になると思う。
習得魔法
【ビアンカ】
メラ、マヌーサ、ルカナン、ギラ、ラリホー、バイキルト、ベギラマ、トラマナ、マホカンタ、メラミ、ザラキ、ベギラゴン、メラゾーマ
【フローラ】
ベホイミ、ルカナン、マヌーサ、バイキルト、ラリホー、トラマナ、ベギラマ、ラナルータ、マホカンタ、メラミ、ザラキ、ベギラゴン、メラゾーマ、イオナズン
【デボラ】
マヌーサ、ラリホー、ルカナン、バイキルト、ベギラマ、トラマナ、ザキ、マホカンタ、メダパニ、ザラキ、ベギラゴン
補助呪文は横並びで、唯一の回復呪文はフローラのベホイミ。攻撃呪文は単体最強のメラゾーマと全体最強のイオナズンを揃えるフローラが圧勝というところか。
一方で覚える呪文の数やクオリティから大きく水をあけられているのがデボラである。
このように比較してみると、回復がベホイミ止まりで、蘇生に関しては誰も覚えないという寂しい結果となる。
花嫁は揃って攻撃気質なのだ。
こちらも序列をつければ、
フローラ>ビアンカ>デボラ
ということになるだろう。
特典
これはキャラクターの性能ではないが、花嫁として選択した場合に入手することができるアイテムの違いを比べておこうと思う。
【ビアンカ】
特になし。
【フローラ・デボラ】
・お金(2,000G、リメイク版で追加で5,000G)
・水の羽衣
・神秘の鎧
富豪ルドマンの娘を選んだ際に貰えるアイテムは流石に豪華である。
お金についてはそれほどありがたみはないが、水の羽衣は入手時点では破格の性能を誇っており、神秘の鎧のオートリジェネもありがたい。
入手アイテムという観点から序列をつければ、
フローラ=デボラ>ビアンカ
ということになる。
公式の見解
ビアンカ・フローラの嫁選び問題(デボラ、ごめん)を語るにあたって、公式がどのように考えているかを取り上げねばなるまい。
結論から言うと、公式は一貫して「ビアンカを選択するのが正史である」としている。
ドラクエ5のパッケージにはビアンカの姿しか載っておらず、取り扱い説明書の中にもフローラの存在には触れていない。
小説やスピンオフ作品でも花嫁ビアンカが自明のものとして描かれ続け、子供である勇者の髪の色もビアンカと結婚した場合の金色が一般的である。
公式ガイドブックで初めてフローラの存在が明確に言及されたが、それ以降は秘密のキャラクターという位置づけとなった。
ドラクエシリーズの生みの親である堀井雄二さんのインタビューでも「プレイヤーの9割がビアンカを選ぶと思っていたけれど、一定数フローラを選ぶ方がいて驚いている」と語っていたことからも、あくまで制作側としてはビアンカルートが正史であって、フローラルートは派生と考えていたことが伺える。
作中でもダンカンから「ビアンカと結婚してほしい」、フローラ争奪戦の恋敵であるアンディの両親からも「フローラのことは諦めてほしい」と懇願されていることから、ビアンカとの結婚こそ祝福されるものの、フローラと結ばれるのは周囲の人間から歓迎されないムードだ。
もちろん選択権はプレイヤーにあるわけで、どちらのルートを選んでもストーリークリアには影響しないので、どちらが正解というものでもない。
どちらも『ドラクエ5』なのであり、『天空の花嫁』なのだ。
花嫁に選ばれなかったら・・・
ビアンカの場合
山奥の村で病床のダンカンと共に暮らし続けることになる。
勝手な妄想であるが、気立てがよく美人なビアンカが小さな村でいつまでも独身でいることで周りからあらぬ噂を流されそうだ。
「ダンカンさんのところのビアンカちゃん、いい年なのに浮いた話ないわねぇ」
「美人だけど、きっと性格的に問題あるのよぉ。私たちには愛想がよくていい子に見えてるけど、実はアレなのかもねぇ・・・」
というような感じ。実際には複数の村の男性から好意を寄せられているのだが、心ここにあらずで彼らの期待に応じる素振りはない。
エンディング時点ではビアンカは独身であるものの、「そろそろ結婚を考えた方がいいかな?」というようなセリフが見られる。
勝ち気で快活で強い女性であるビアンカも主人公に対する想いが捨てきれず、心を痛め続けている様子が見ていて辛い。
フローラの場合
潔く主人公に対する想いを断ち切り、幼馴染のアンディと結婚する。
フローラの結婚相手募集のイベントで、自分に不利になるかもしれないとわかっていながらもビアンカの主人公に対する恋心を見抜き、主人公に自分とビアンカのどちらを選ぶか本当の気持ちを伺いたいと正々堂々の勝負を望んでいた。
花嫁に選ばれれば一途に主人公を愛し、選ばれなかったとしてもビアンカを祝福して、自分は違う可能性を信じてアンディと結ばれる。
どこまでもさっぱりしていて素晴らしい人格の持ち主である。
ちなみにアンディはフローラのことが狂おしいほどに好きで、ルドマンが提示した財産には目もくれずにフローラと結婚したい一心で果敢に試練に挑んでいく気持ちのいい性格である。
戦闘能力には難があって、強力な魔物が潜むダンジョンに単身乗り込むには不安な彼は案の定大けがを負ってしまうが、フローラの献身的な看護で驚異的な回復を果たす。
この時点でフローラはアンディに特別な感情を抱いているが、それは恋愛感情というよりも作中で聞けるような「兄のような大切な存在」に対する感情である。
主人公がフローラを選んだ場合には、アンディは元踊り子のスーザンという女性と結婚することになるが、主人公とフローラの幸せを心から願いながら自身は新たな愛と共に生きるという選択を取ることができる彼の人格も天晴れである。
サラボナは人格者を輩出しすぎだと思う。
デボラの場合
主人公に選ばれなかったことで気落ちすることもなく、勝手気ままな独身生活を謳歌し続ける。
キツい性格だが、持ち前の美貌に魅了されて寄ってくる男性は数知れず。引く手数多であることだろう。
誰を選ぶのが正解?
結局は好みの問題であることに帰結するのだけれど、客観的に誰を選んだらいいのか考えると、
- ストーリー重視→幼馴染のビアンカ
- 魔法使いのポジション→フローラ
- パワーファイター兼破天荒な冒険をしたい→デボラ
といった人選になるだろう。
まどろっこしいのは嫌いだという方は、愛する人を嫁にしたまえ。
愛は世界を救う。そう、魔王が支配する世界も救える。
目の前の人も救えなくて、世界再生なんてやれるかよ!(TOS感)
まとめ
映画版ではドラクエ5の目玉である仲間モンスターが描かれることが強く予想されることから、仲間モンスター大好きな僕としては絶対に観たい作品である。
それと同時にサブタイトルにもなっている『天空の花嫁』がどのように描かれていくかも注目だ。
どんな仲間を選び、生涯の伴侶にどの花嫁を選ぶか。それがあなたの物語、ユア・ストーリーなのだ。