『ヘッドスパ』というものを受けられたことがある方も多いと思います。
『ヘッドスパ』とは、頭にオイルやジェルを塗って頭をマッサージすることで毛穴から皮脂を揉み出したり、血流を良くしたりするだけではなく、眼精疲労や肩凝りにも効果があるという施術です。
僕が初めてヘッドスパを体験したのは2年ほど前になります。
とにかく気持ちいいんですよね。普段の生活で頭を揉まれることなんてないですし。
僕が最近利用している美容室は散髪後にヘッドスパをしてくれるのですが、半ばこれを目当てに通っているくらいです。
さて、今回は僕がこよなく愛する『ヘッドスパ』との最初の出会いについて書いていこうと思います。
僕と『ヘッドスパ』との出会い
美容室のカットのプランについてくるヘッドスパ。
あくまで髪を切るおまけのポジションであり、洗髪ついでにチャチャチャっとやって終わりでしょ?そう思っていた。
そもそも僕はヘッドスパなるものを体験したことがない。
それどころか『マッサージ』というカテゴリー自体が無縁なほどに肩や腰の凝りに悩まされることがないため、「お金を出してやってもらわなくてもなぁ」と思っていた。
一方で、仕事でパソコンをよく使うため、眼精疲労は感じていたところであり、ヘッドスパはこれに効果があるということで興味はあった。
↓眼精疲労はアイマスクで応急処置。
ただ、わざわざヘッドスパの専門店に行って施術を受けるほどではないと判断し、敬遠していたのも否定しない。
しかし、僕の中である種の“憧れ”であったヘッドスパをおまけとはいえ体験できるというのだ。
自然と期待は高まる。
念願のヘッドスパを体験しに美容室へ
初めて入る美容室だったので、特にスタイリストさんの指名もせず、入店時には小柄な40代くらいの女性が付いてくれた。名前を「Sさん」とする。
この方のヘッドスパが衝撃だったのだ。
僕が一生涯であと何回ヘッドスパを利用するかはわからないが、最初のヘッドスパが衝撃的だったという事実は消えない。
そして、僕がヘッドスパを気に入り、その美容室に今も通っているのはSさんの施術が“衝撃的ではあったが有用であった”という証左に他ならない。
未知との遭遇
普通に髪を切って、頭を洗う。
そうそう、自然な流れからすればここでヘッドスパに入るはずだ。
思わず身構える。人類の歴史は未知との抗争である。
未知との遭遇が人類の発展の萌芽であり、全ての発明物の始原である。
僕は未知の海原に漕ぎ出す。大海を超えた先には何があるのか。
ひとつなぎの財宝でもあるとでもいうのか。
「じゃあヘッドスパに入っていきますねー!」
「はい(ついに始まるというのか・・・)」
「ジェルが温かいのと冷たいのがありますけど、どうしましょう?」
「冷たいのでお願いします」
ひと通り頭全体を揉みほぐす。ときに優しく、ときに力を込めて。身体から自然と力が抜けて、リラックスする。
頭皮がグニグニしているというのも不思議な感覚だ。
とはいえ、ここまで想定の範囲内。時間にして10分といったところだろうか。
あくまで散髪のおまけ。本格的なヘッドスパ専門店ならば更なる感動が待っていたのだろうが、おまけならば十分だろう。
流れ、変わったな
ここで提案。
「普段の生活で凝ってるな〜と感じるところはありませんか?」
先述の通り、肩凝りや腰痛とは無縁な僕だが、目の疲れは気になっていたところだ。
「うーん、目は疲れますね・・・」
「わかりました!目に効くツボを重点的にマッサージしますね!」
サービス精神旺盛である。
この魅力的な提案があんな結果を引き起こすとは誰も知る由がなかった。
Sさんがおすすめのツボは、後頭部の首側の少し窪んでいるところ。
具体的には上の画像の『15.天柱』と『8.風池』辺りである。肩凝りや眼精疲労に効果絶大のツボだ。
↑ちなみに頭にはこんなにたくさんのツボがあるそうだ。
「押していきますね〜」
「あれっ?全然指が入っていかない・・・。凝り固まって、筋肉が硬くなってますね〜」
僕の目の凝り具合は想定外だったらしい。
当初はチャチャっとほぐすつもりが全く歯が立たない、いや、指が立たない。
「少しずつほぐしていきますからね〜(グリグリグリ・・・)」
「・・・(おっ、凝り自体には届いてないけど、何だか気持ちいいぞ!)」
苦戦することさらに10分くらい。
女性といえど、さすがハサミを普段使っている美容師さん。握力が衰える様子がない。
「だんだん柔らかくなってきましたね〜もう少しですよー!」
グリグリグリグリグリ・・・
握力が弱まるどころか、だんだん強くなっていませんかね?
グリグリグリグリグリグリグリ・・・
痛いまではいかない、むしろ気持ちいい部類だけど、圧迫感が物凄い。
まるでこのまま
指がズーン!!
って貫通して脳に到達してしまう勢い。
そんなはずはないと思いながらも、心の中では
頭蓋骨ズーン!!
に怯える僕がいた。
「ハァハァ、私も少し疲れてきました笑」
「・・・(見上げたプロ根性だ。とことん付き合ってやろう)」
既にヘッドスパが始まってから30分は格闘している。
もう、完全にヘッドスパが本体。髪を切るのなんてどうでもいいまである。
「だいぶ柔らかくなりましたねー!押していきますよー!」
後頭部が局所的に熱くなっている気がする。
血流、血潮を感じるのだ。
ググググググググ・・・
なんだかメリメリ音がしているような・・・。
これ、本当に
目玉ドーン!!
しないよね・・・?
もし、Sさんの指が脳を貫通して僕が死んだら、世界で初めて❝ヘッドスパで死んだ人間❞になるのか。
親はどう思うかな。田舎から出ていった子供がヘッドスパで
目玉ドーン!!
で死んだら周りになんて説明するんだろ。
「へへへ、『脳天直撃セガサターン(物理)』で天に召されたんだってさ」
いや、待てよ。僕が死んでヘッドスパの危険性が世に知れ渡れば、善良なヘッドスパ業者の皆さんが路頭に迷うことになるのでは・・・。
いかんいかん。負けるな、僕の凝り。Sさんの指を決して通すんじゃないぞ。
耐え抜くんだ、耐え抜くんだ。天柱、風池!
それでも手を休めないSさん。あんた、プロだよ。殺し屋だよ。
凝りの親玉にダイレクトアタック。まさかここまで到達する者が現れるとは。
でもね、僕の勝ちだ。
目玉ドーン!!
してないぞ。
勝った・・・。
勝ったんだ!
ウォアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
自分の指で触ってみると、確かにいつもとは違う感触だ。何となく柔らかくなっているのが分かる。
しかも視界がやたら明瞭だ(実際、1週間くらい明瞭な状態が続いた)。
僕の色褪せていた世界が鮮やかに色付きだした。
そう、あれはある夏の遠い記憶---
まとめ
2年前のヘッドスパデビューから、僕は専門店や温泉併設の施術をいくつか体験したが、Sさんを超えるヘッドスパとは未だ出会えていない。
そもそもSさんの施術はヘッドスパだったのだろうか。本来はもっと優雅でしなやかなものなのではないだろうか。
もはや総合格闘技、工事の類の所業を僕は『ヘッドスパ』と呼んでいるのだろうか。
いや、今となってはどうでもいいことかもしれない。
↓リラックスしたい僕の備忘録はこちらから。