うたかたラジオ

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僕のゲーム人生の原点『ゼルダの伝説 夢をみる島』のリメイクの知らせを受けて

NintendoDirectで『ゼルダの伝説 夢をみる島』のSwitchでのリメイクが発表されて早1ヶ月。


ゼルダの伝説 夢をみる島 [Nintendo Direct 2019.2.14]

もっと早く記事にしたかったところですが、なんだかんだでこの時期になってしまいました。

この記事では「ゲームシステム云々」だとか「他の作品との時系列の関係・整合性」だとかの堅苦しい話は抜きにして、単純にリメイクのお祝いと僕が子供の頃にプレイしたGBの『ゼルダの伝説 夢をみる島』の思い出を書いていこうと思います。

『夢をみる島』とYくん

時代を超えた名作『ゼルダの伝説』

Switchの『ゼルダの伝説』といえば『ブレス オブ ザ ワイルド』であり、流麗なグラフィックと骨太なストーリー、広大なオープンワールドでプレイヤーに全てが委ねられた世界観に圧倒された方も多いのではないだろうか。

僕も当然プレイ済みで、最初の祠から出たときの目の前に広がる山や森や崖。これらが手の届かない背景なのではなく、実際に歩いて登ることができると思うと猛烈な感動とワクワク感が胸を支配したのを覚えている。

ブレスオブザワイルド

↑今まで色々なゲームをプレイしてきたけれど、その中でも屈指の期待感を抱かせる素晴らしい導入だったと思う。

さて、最新作はこんな進化を遂げていますよという話はこれくらいにして、これから語るは今から26年前に発売したGBの『ゼルダの伝説 夢をみる島』(以下、「夢をみる島」とする)。

タイトルにも書いたように、『夢をみる島』は僕にとっての❝初ゼルダ❞である。

もっと言えば、僕の長いゲーム人生の中で最初期の頃にプレイした思い入れのあるゲームでもある。

 

「作り手の意図を酌んで遊びつくす」が合言葉

今は大人になってゲームに割ける時間も少なくなったので、1回のプレイで全ての要素を回収したいと思うし、どうしても詰まってしまったときにはネットに頼れば攻略情報がごろごろ転がっている。

しかし当時はネットが発達しておらず、子供の僕には携帯電話もパソコンもなかったため、ゲームの攻略は「自力」・「攻略本」・「友達との情報共有」しかなかった。

僕は攻略本の存在を知らなかったので、人力による解答を求めるほかない。

ポケモンやFFやドラクエならば周りを探せば誰かしらプレイしているのだが、それが❝どメジャーから少し外れたもの❞になると途端にプレイ人口が激減する。

夢をみる島も多分に漏れず、僕の周りでプレイしていたのは「Yくん」1人だけだった。

Yくんはクラスで一番の秀才で、授業が終わるとそそくさと帰ってしまう。どうやら習い事を掛け持ちしているようで、何もしていない僕から見ればいつも忙しそうだという印象である。

ピアノ 習い事

それでも周囲に壁を作ることもなく、学校にいる間は他の子たちとバカなことやって大笑いするという気さくなナイスガイである。

そんな彼が僕と同じゲームをしているというのは意外だった。そもそも「ゲームなんかするんだ・・・!」。

「夢をみる島」という共通点を通じて、僕はYくんと遊ぶようになった。

ここでは多くは書かないが、

 

・彼は家庭に複雑な事情を抱えていること

 

・親からは彼の優秀な頭脳を開花させるべく、卒業したら地元を離れて遠くの学校へ通わせると言われていること

 

・ゲームは禁止されてはいないものの遊んだ時間×2倍の勉強を普段のルーチンに加算してしなければならないルールがあること

 

など、普段は人に話さない内容を僕には教えていると言った。

 

「じゃあ、今こうして遊んでいる時間分も帰ったら勉強しなくちゃいけないの?」

僕は心配になってYくんに聞いた。

「オレが放課後に友達と遊びたいって言うのが珍しかったのか、親は特別に〇〇と遊ぶ時間にとやかく言わないよ」

Yくんの顔はどこか誇らしげだった。

Yくんとはポケモンも一緒に遊んだし、ドラクエモンスターズもやり込んだ。

今思えば、彼は理路整然と効率的にゲームを遊ぶ術を心得ていたが、なにより作り手の意図を酌んで遊びつくすことに主眼を置いていた。

『夢をみる島』は、『ブレス オブ ザ ワイルド』のようなオープンワールドと言ったら大げさではあるが、序盤から行こうと思えばかなり広範にわたって行動することができるし、ストーリーで手に入れたアイテムを用いて行動範囲を格段に広げることができた。

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(ゼルダの伝説 夢をみる島DX | ニンテンドー3DS | 任天堂)

例えば、普通に歩けば落ちてダメージを受けてしまう穴も「ロック鳥の羽」というアイテムがあれば飛び越すことができるし、「ペガサスの靴」というアイテムを併用すればひび割れた床を駆け抜けることもできるし、羽の跳躍力を伸ばすこともできる。

「パワーグローブ」というアイテムがあれば重いものを持ち上げることができるし、「フックショット」で遠方のオブジェクトに飛びつくこともできる。

当時のゲーム特有の❝頑張ればドットの壁を抜けることができる❞ことを利用して、通常であればまだ進めない場所にアイテムを駆使して無理やり侵入したり、やれることは何でも試すのが楽しかった。

これらの要素をあえて楽しむのが僕たちのゲームの味わい方で、次行く目的地は明確であるのにわざわざマップを隈なく回っていける場所は増えていないかと探検していた。

こんなにじっくりねっとりゲームしてたら、勉強しなければならない時間も激増である。

 

さては、Yくん、君はアホだな?

 

そして、何度思い返しても、僕のゲーム好きはここが原点だ。

 

数年後、Yくんは僕の住む町から遠く離れた都会の学校に進学した。Yくんほどの才能をここに埋もれさせておくのはもったいない。

 

Yくんとずっとゲームをして遊んでいたかったけれど、楽しい時間は終わってしまうんだ。終わってしまうとわかっているから楽しめるんだ。

 

それはゲームも同じ。

 

僕たちが大事にしていた❝作り手の意図を酌んで遊びつくす❞。

 

大人になった僕は、相変わらずあの頃と同じようにゲームをしているよ。

 

ゲームに割ける時間は少なくなっちゃったし、積んでるゲームもいくつかあるんだ・・・。

 

でも、何かの縁で僕の手元に届いたこのゲームを、ゆっくり時間をかけて遊びつくしてやりたいと思っているんだ。

 

『夢をみる島』は、主人公のリンクが故郷に帰る途中の船旅の途中に大嵐で船が難破し、コホンリントという孤島に漂流するところから始まる。

島から脱出するためには各地に散らばる楽器を集めて❝風のさかな❞を目覚めさせる必要がある。

楽器はダンジョンのボスたちが守っていてリンクの侵入を阻んでいるが、苦労の末これらを入手し、❝風のさかな❞は目覚める。

しかし、コホリントに暮らす人々、モンスター、起こる出来事、そしてコホリント島それ自体が❝風のさかな❞の見る夢であり、目が覚めれば夢は姿を失い消えていく。

リンクが島から脱出することを応援していた人も阻んでいた人もそれぞれの思惑があったことだろう。

夢から覚めたらいなくなる。

夢

Yくんが『夢をみる島』と出会ったのは運命だったんじゃないかな。

 

まとめ

僕にとって『夢をみる島』は忘れることができない名作であり、26年の時を経て最新機種へのリメイクが決定したことは非常に喜ばしいことである。

子供の頃に遊びつくして、内容はほとんど頭に残っているけれど、僕はもう一度リンクと共にコホリント島を冒険することだろう。

あの頃と比べて変わってしまったこともたくさんあるし、変わらないものもそれなりにある。

原点を見つめなおしたら、また何か得るものがあるのだろう。