うたかたラジオ

お代は“ラヴ”で結構です。

なんということはない、どの町にでもある中華料理屋のレバニラ定食が今尚僕の心を惹き続けるのはなぜだろう。

町の中華料理屋が好き。

どんな町にも中華料理屋はあるじゃないですか。

フカヒレの姿煮やツバメの巣などの高級中華を出す格式高いところもあれば、普段使いに最適な定食メニューやちょい飲み歓迎の町の中華料理屋さん。

今回取り上げるのは、後者の庶民派の中華料理屋さん。僕が長いことお世話になっているお店です。

思い出のレバニラ定食

貧乏の味方680円のレバニラ定食

お恥ずかしい話ですが、僕は昔長いこと貧乏な生活を送っておりまして(今も別に裕福ではないですが)、安価でお腹いっぱい食べられる近所の中華料理屋さんでご飯を食べることが多かったのです。

そのお店は、昼夜問わず同価格で定食メニューを提供しており、価格帯としては下が680円のレバニラ定食、その上に麻婆豆腐や酢豚が750〜800円台で並んでいます。

そしてその上がホタテや牛肉、海老を使った定食メニュー。

一番高いものでも900円台前半というラインナップで、定食はメインの中華+大盛りのご飯+玉子スープ+ザーサイ+杏仁豆腐というのが基本の構成です。

今まで何種類か注文したことがありますが、僕が大体選ぶのは1番安いレバニラ定食。

レバニラ

貧乏時代を支えたということで思い出補正もあるとは思います。

でも、僕がその店で1番美味しい定食を選ぶとすれば680円のレバニラ定食を推すことでしょう。

 

素晴らしきレバニラ

安いからといって手抜きメニューなのではなく、肉厚のレバーがゴロゴロ、もやしとニラはちょうどいい火の通り具合で食感はシャキシャキ。ご飯がどんどん進む、オイスターソースベースのコクのあるタレ。

もともとレバーってあまり得意ではなかったんですよ。

内臓だから当たり前なのですが、食感も味も風味も肉とは違う独特さを持っていて、特にぼそぼそした粉っぽい食感が苦手でした。

その苦手意識を消してくれたのもこのお店のレバニラ定食です。

「レバーってこんなにプリプリした食感で臭みもないものなんだ・・・」

最初は全く期待せずに食べたレバニラがこんなに美味しいものかと感動したことを覚えています。

 

他の定食も充実しています

レバニラ定食の他にも何種類か注文したことがあると書きましたが、麺のメニューもあり+100円で半チャーハンをつけることができ、これに一時期ハマっていた時期があります。

半チャーハンなのに半チャーハンの量ではなく、おまけというには旨すぎる。

現代はまさにラーメン戦国時代の様相を呈していて、日々進化していく人の舌とトレンドに対応するために今までにないような新たな技法が次々と開発されています。

これはこれで大変結構なことで、僕も寒い時期は週1回は必ず夕食をラーメン屋さんで食べて舌鼓を打っていました。

ただ、「濃厚醤油豚骨!」だとか「極選煮干し出汁!」というようなラーメン屋魂を感じさせるような強烈なラーメンも食べ続けると疲れてきます。

そういうときに町の中華料理屋さんで出てくるようなシンプルな醤油ラーメンが恋しくなるものです。

醤油ラーメン

今書いているお店は麺メニューも充実しており、醤油ラーメンの他にもパーコー麺やワンタン麺、坦々麺などラーメン屋顔負けの品揃えですが、どれも素朴でしみじみ美味しいおすすめのメニューです。

「食べ疲れない普段使いのラーメンってこういうのだよなー」

とズルズル麺をすすりながら、それでもやっぱり凝ったラーメンも好きなんですよね。

 

なぜこの店が好きなのか考えてみる

中華料理屋なんて歩き回れば何軒も見つかりますし、どこでも大体定食メニューがあってラインナップは豊富。決まってお手頃。

確かに近所には同じような価格帯のお店はあって、どこも甲乙つけがたいくらい美味しいんですよ。

でも結局最後の決め手になるのは、「居心地の良さ」なんだと思います。

  • 異常に狭いトイレが落ち着く。
  • ピッカピカの金の招き猫、いったいどこで買ったんだ。
  • この箸入れ、微妙に取り出しにくいんだよなぁ。
  • 焼き餃子は美味しいのに、なんで水餃子はこんなに不味いんだよ・・・
  • 冷やし中華、量多すぎ!

旧知の友のように、憎まれ口を叩きたくなるくらい落ち着くんですよ。❝ただいま❞って言いたくなる。

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↑この記事の中で「馴染みの中華料理屋」と書いているのが例のお店です。

久しぶりにレバニラ食べたいなと思ったときに真っ先に浮かぶ店。

ふつーの醤油ラーメンが食べたいと思ったときに、あそこしかないなと思える店。

土曜日の昼なんかにふらっと出かけて行って、「相変わらず旨いな」と戦友の無事を確かめるように顔を出せる店。

料理の旨い不味いはもちろん大事な要素ですが、それと比肩するほどに大事なことは「また来たい」と思えるかどうかです。

どんなに美味しい店でも、意外と2回目までのブランクが長いことってあるじゃないですか。

特にラーメン屋や中華料理屋はそこらにゴロゴロしているので、あえて同じ店に行かなくてもという気はするのです。

“通い詰める”というのはある種の特別な縁があると考えていいと思います。

 

町の中華料理屋、永遠なれ。

冒頭でも書きましたが、貧乏時代にお腹いっぱい美味しいものを安価に食べられる中華料理屋さんには感謝してもしきれません。

今は多少の小銭を稼いでちょっと高級な中華料理を食べられるようになりましたが、結局僕にとってのナンバーワン中華は苦しいときに食べたあの店のレバニラ定食なんですよね。

中華料理屋に限らず、定食屋さんだったり、居酒屋だったり、喫茶店だったり。

妙に居心地が良くて、自然と通いつめて。

どこか頭の片隅にはいつもそのお店のことがある。

そういう場所があるって幸せなことなんだと思います。

 

まとめ

とりとめのない話になってしまいましたが、恐らく誰しもが思い出の中で燦然と輝く特別なお店というのがあるのではないかと思います。

もしも最近忙しくてそのお店のことを忘れかけていたとしたら、週末ちょっと足を伸ばして出かけて見ませんか?

大事なものが見つかるかもしれないですよ。