引き続きRADWIMPSの曲についての個別考察記事になります。
↑この連載の趣旨及び経緯はこちらの記事をご覧ください。
さて、今回考察していくのは、アルバム『RADWIMPS4~おかずのごはん~』に収録されている『me me she』です。
読み方は「ミィミィシィ」ではなく、「メメシィ」。
タイトルどおり失恋でボコボコに凹んでいる女々しい男が主人公の曲です。そんな彼の精神的な成長を優しく見守ってあげましょう。
『me me she』歌詞考察
独りよがりに気づかない僕
僕を光らせて 君を曇らせた
この恋に 僕らの夢を載せるのは重荷過ぎたかな
君の嫌いになり方を 僕は忘れたよ
どこを探しても見当たらないんだよ
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
❝僕❞は❝君❞と一緒に居ることで、今まで退屈だった日常がキラキラと光り輝くのを感じていました。
一方で君は僕のために色々我慢をしたり傷つくこともあって、次第に澱んでいくのでした。
二人で将来叶えたい夢は沢山ありました。沢山あり過ぎて、希望に満ち溢れすぎていて、でもそれは僕の独りよがりだったようです。
そんな生活が長く続くわけもなく、嫌気が差した君は僕に別れを告げます。でも、君のことが大好きでたまらない僕は、君のことを諦めきれない様子。
君のことが全部好きで、嫌いなところなんて一つもなかったのです。
❝あの約束❞の破り方
あの日どうせなら 「さよなら」と一緒に教えて欲しかったよ
あの約束の破り方を 他の誰かの愛し方を
だけどほんとは知りたくないんだ
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
僕と君が一緒に居た頃、君がまだ曇ってしまう前は「近いうちに結婚したいね!」「子供は2人がいいかな!」と将来に向けた漠然とした約束をしていたけれど、それも叶わなくなってしまいました。
そして、僕がこだわる❝あの約束❞は後に登場します。
こんなに辛いならば君を忘れてしまうのが一番なのだろうけど、僕は弱くて君を忘れて前を向くことができないし、そんな方法すら知りたくないと八方塞がりな僕がいます。
❝あの約束❞の行方
約束したよね 「100歳までよろしくね」
101年目がこんなに早くくるとは思わなかったよ
こんなこと言ってほんとにごめんね
頭でわかっても 心がごねるの
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
❝あの約束❞は「100歳まで仲良く一緒に居ること」でした。
100年続く愛という言葉があるけれど、裏を返せば101年目からは保証がないということ。
僕が永遠を望む一方で、君の中ではもうとっくに終わっていたのかもしれないですね。
女々しいかもしれないけれど、口を突いて出てしまったその言葉を諫めるように僕は「ごめんね」と君に謝ります。
でも、君との未来に想いを託して、僕の心を君に半分あげてしまったものだから頭では理解していても、心は君との別れを受け止められずにいるのです。
僕の世界のすべて
だけど そんな僕
造ってくれたのは 救ってくれたのは
きっとパパでも 多分ママでも 神様でもないと思うんだよ
残るはつまり ほら君だった
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
僕にとって君はこの世界の全てでした。パパもママも僕を大事に育ててくれて尊敬しているし、大切に想っています。
ただ、それ以上に君の存在が僕を形成して、僕の生きる希望になっているのです。
神様よりも尊くて、僕が信じる全能---。
僕を造ってくれたのは君だから。
諦めきれない想い
僕が例えば他の誰かと結ばれたとして
二人の間に命が宿ったとして
その中にもきっと 君の遺伝子もそっと まぎれこんでいるだろう
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
失恋して君を忘れられない女々しい男である❝僕❞の女々しさが最高潮を迎えます。
僕が遠い未来、君ではない他の誰かと結ばれて子供を授かったとしても、僕の心はずっと君を思っているし、生まれてきた子供には君の遺伝子が少し入っているだろうと思い込んでいます。
それほどに僕の君への感情は大きいもので、心のほとんどを食い潰すほどの熱狂的な愛情だったのでしょう。
約束の破り方を知らない僕ができること
でも君がいないなら きっとつまらないから
暇つぶしがてら 2085年まで待ってるよ
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
「100年の約束」が終わるとき、101年目の始まりが2085年なのでしょうか。
一度潰えた約束も、もう一度結び直してまた始めればいい。そう考えている女々しい僕なのです。
me me she
今までほんとにありがとう 今までほんとにごめんね
今度は僕が待つ番だよ 君が生きていようとなかろうと
だって初めて笑って言えた約束なんだもん
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
今まで僕は君に「ありがとう」も「ごめんね」も気恥ずかしくて言えなかったけれど、ようやく素直に言えたようです。
多分君は僕が変わってくれると信じて待ってくれていたけれど、僕が君に求めることばかり多すぎて嫌われてしまったのです。
今度は僕が待つ番だ。君が死んでしまっても僕はずっと待つよ、ずっとずっと...。なかなかに狂気じみていますね。
「me me she」は僕が二つで君が一つ。独りよがりじゃなくて、僕が一つで君が二つくらいでちょうどよかったのかな。
ちょっぴり男らしくなれたかな
「さよなら」と一緒に 僕からの言葉を
「ありがとう」と一緒に「ごめんね」を
「空が綺麗だね 人は悲しいね」
また見え透いたほんとで 僕を洗ってよ
次がもしあれば 僕の好きな君 その君が好きな僕
そうやっていつしか僕は僕を大切に思えたよ
この恋に僕が名前をつけるならそれは「ありがとう」
(『RADWIMPS4~おかずのごはん~』作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎)
君が言うことはいつだって正しい。だからこのお別れもきっと正しいことなのでしょう。
この恋を通じて、「僕が好きな君が好きな僕」が確かにいたのだから、「君が好きだった僕」を大切にしていかなければ、僕が大好きな君に示しがつかないね。
君にフラれて女々しい僕だったけれど、顔を上げて前を見て進むことができそうです。
終わってしまった過去の恋愛に縋るのではなく、自身の血肉にすることができた❝僕❞は少しだけ男らしくなったのかもしれません。
総評
最初こそ女々しさ全開で自分のことしか考えていなかった❝僕❞でしたが、君が僕に向けてくれていた想いに気づき、徐々に人間的に成長していく様を描いています。
「me me she」からの脱却。
自分が求めるのであれば、相手の要望に応えてあげなくてはいけないし、そんな当たり前のことが見えなくなってしまうのも恋なのかもしれませんね。
穏やかで悲し気なメロディーとボーカルが相まって、ずーんと重い気持ちになりますが、徐々に❝僕❞が再起していく姿には勇気を貰えます。
まとめ
『me me she』はRADWIMPSらしさが特に出た曲ではないでしょうか。なよなよ系でうじうじした男が少しだけ前向きになって成長していく姿が印象的です。
前回の記事に比べて文章を簡潔にまとめることができたと思うので、基本的には2,500~3,000字くらいでコンパクトにしていけたらと考えております。
ストレート過ぎて考察の余地があまりないものも今後出てくるかもしれませんし、その逆も然りなので「情報量は必要十分でコンパクトに」が目標です。