8月に入って酷暑が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
2020年は周知のとおり「我慢の年」であり、色々な制約を受けながら日々生活されていることと思います。
出かけたいのに出かけられない。遊びたいのに遊べない。まぁ、こんなに暑い気候の中わざわざ外出する必要もないのですが、たまには大自然に囲まれて健康的な汗をかいてみるのはいかがでしょう。
ということで今回は久々に東京都・奥多摩に遊びに行きましたので、その様子をお伝えしようと思います。
今まで何回か当ブログで奥多摩観光の記事を取り扱っておりますので、こちらも併せて読んでいただければ幸いです。
今回の旅の始まりは『鳩ノ巣』
はとのす伝説
新宿から中央線、青梅線を乗り継いで約1時間半。終点の奥多摩駅の2つ前が鳩ノ巣駅。
手前の沢井や御岳、古里、そして終点の奥多摩では何度か下車したことがあるが、この駅で降りるのは実は初めてだ。隣の白丸駅も同様。
今回はこの『鳩ノ巣』と『白丸』を中心に散策していく心積もりである。
「はとの巣伝説」とは・・・?
1657年(明暦3年)、江戸に振袖火事と呼ばれる大火があり、町の復興及び江戸城の修復のために大量の資材が必要になった。
そこで奥多摩のこの地から多摩川を通じて木材を搬入することになり、多摩川の沿岸には人夫たちの飯場小屋や建てられた。
近くには水の神様を祀る『水神社』があり、いつの頃かここに2羽の番いの鳩が巣を作って暮らし始めたとのこと。
村人たちはこの鳩を霊鳥として愛護したことから、この地は『鳩ノ巣』と呼ばれるようになったそうだ。
日本の原風景といえるような大パノラマが広がっている。同じ東京だけど、渋谷や新宿辺りと時間の流れが違うのだろう。
先ほどからあえて人が写らないように写真を撮っているが、実は20人ほどが同時に降車しており、そこそこ賑やかであった。
奥多摩には数年前から足しげく通っているので、なんとなく客層の変化が見て取れる。いつもは割と年齢層高めの登山客がメインで、自分のような観光客が残りを占めるイメージ。
しかしながらこの日はファミリー層や学生のサークルらしき団体が多く、外国の方も多かった。装備的には単なる観光ではなく、キャンプやアウトドアレジャーを楽しみに来ているように思える。
今現在、大手を振って都内で自然を楽しめるのはここくらいかもしれないし、集中するのも仕方のないことだろう。
駅舎は想定通りの無人。綺麗なステンドグラスにお迎えされた。
まるで合成写真のような、古き良き駅の佇まい。
鳩ノ巣駅至近のカフェ『山鳩』で絶景と共に腹ごしらえ
駅を出て左手の坂を下っていくと見えるのが、今回訪問したかったカフェ『山鳩』だ。
時刻は11時前。日光は無慈悲にも肌を刺し、塗ってきた日焼け止めも貫通しそうだ。
とはいえ、都心のような粘りつく暑苦しさではなく、適度に風も吹き抜け体の奥底から活力が湧いてくるような気持ちのいい暑さ。
暑い中来てよかったな、と確信した瞬間である。
カフェに入ってすぐのお土産コーナー。美味しそうなカボチャもあるけれど、ここで買ったら後の行程が完全に潰れてしまいそうなので我慢。
今思えば、鳩のエコバッグを買っておけばよかったなと少し後悔している。
木で作られたアートギャラリー兼カフェといった感じか。
開店してから間もないせいか、先客は1組だけ。テラス席で談笑していた。
自分は一人なので適当なカウンター席でいいかなと思っていたが、店員さんのご厚意で4人用のテラス席に案内される。
双眼鏡?誰かの忘れ物かな?
メニューをパラリ。
隣のグループのピザが美味しそうだったのでそれもありだったが、ここはハヤシライスのミニ蕎麦とドリンクのセットにしよう。手作りシフォンケーキも気になるな。
もう店から出たのか、とお思いだろうか。実はこの景色はテラス席からガラス越しに見えるものなのだ。
絶景かな、絶景かな。これは確かに双眼鏡を備品として置いておいても不思議はない。
前菜のサラダを食べ終わると(左の空の皿)、またサラダが供される。
あ、これがミニ蕎麦なんだ。ミニとはいっても蕎麦は普通に1人前はある。中華風のスープとよく合う。蕎麦単品でも歯触りと喉越しで十分な実力を感じさせる。
メインのハヤシライスとドリンクのアイスコーヒー。
ハヤシライスは過度に味を付けておらず、野菜の甘みや牛肉のコクを感じられる優しい口当たり。シメジのシャキシャキ感も心地いい。
蕎麦とハヤシライスの組み合わせは初めてだったけれど、全く違和感はなかったな。
再び温まってきた体をアイスコーヒーで落ち着けて完食。御馳走様でした。大満足です。
カフェを出て鳩ノ巣渓谷に向かう。
途中、奥多摩で何故かスタンダードになっているらしい釜飯屋を発見。昼食を選ぶ際に迷ったのだが、真夏に釜飯というのも気が引けたので今回は見逃した。もう少し涼しくなってきた頃に挑戦してみよう。
鳩ノ巣渓谷~白丸
鳩ノ巣ウォーキングトレイル
まるで合成のような風景だ。
このトンネルの手前を左に曲がれば鳩ノ巣渓谷。近くにはとのす荘という旅館があるため、この辺りから車の交通量が増えている。
鳩ノ巣渓谷をまっすぐ進んで隣の白丸駅に向かうルートもあるが、今回は白丸魚道を見学したいので途中の分岐ルートに進む予定だ。
この大自然の中を今から歩いていくのか。
鳩ノ巣渓谷を満喫したいならここに泊まるのがベストだろう。
案内に従って進んでいく。
左手は苔生す岩壁、右手には多摩川。マイナスイオンによる四面楚歌である。
こちらも山鳩とどちらにしようか迷ったギャラリーカフェぽっぽ。
橋から見下ろした川の流れ。何故か同じような写真を何枚も撮りたくなる不思議。
ここからがウォーキングトレイルのコースになっているようだ。
ここ、本当に東京なんですかね。
ここ、本当にとうky・・・
ここ、ほ・・・
しっかり道があるのはこの辺りまで。
割と急な階段を登り、道なき道を進んでいく。
昔見た映画を思い出した。
白丸ダムと白丸魚道
入り口から歩いて20分くらいだろうか。コースの分岐点に到着した。
白丸ダム。奥多摩のダムといえば小河内ダムだが、ここにもあったのか。
随分標高の高いところまできたもんだ。
白丸魚道はまだまだ上にあるらしい。急な階段をひたすら登っていく。
人工的なんだけど、自然に組み込まれすぎて人工物に思えない。
実はかなり気になっていた白丸魚道。
入り口に受付があるけれど、特に何かを書いたりするわけでもなく入場も無料。
地下に続く螺旋階段。バイオハザードの中盤辺りに出てきそうな地形だ。
受付付近には5人ほど先客がいたが、この螺旋階段を下りている人は誰もいない。確かに結構長いし、途中で進退窮まる可能性もなくはないわけで。
じゃ、行きますか。
階段の途中から上を見上げてみる。地下に降りるにつれて涼しくなっていく。これはありがたい。
一番下に到着すると広がっていたのは試験場のような設備。水が滞留していたり、一定の区画を流れていたり。
この魚道は読んで字の如く「魚が通る道」である。
ダムを作って上流と下流の間に大きな勾配ができてしまうと、鮎や鮭のような成長や産卵のために上流に遡上したい魚や本来上流に棲息しているような生物が洪水等で下流に押し流されてしまったような場合、よほどの泳力がなければ上流に行くことは困難である。そこで魚道と呼ばれる勾配を緩やかにする魚専用の道を作ることで生態系への影響を少なくしているのだ。
魚道を見学し、外の世界へ。日陰になっているのと水場が近いからかかなり涼しく感じる。
未開の地・白丸へ
これがぼくのなつやすみ
このまま道なりに進めば白丸駅だ。白丸駅から電車に乗って、御岳駅へ。お土産屋でも覗きつつ沢井駅まで歩いて、澤乃井ガーデンで蕎麦を食べつつ日本酒を飲んで・・・。
堪らんわい。
車は時々通るものの、歩行者の姿はなし。
人との物理的距離についてシビアになっている昨今の情勢。誰もいなければ迷惑になることもないもの。
そう、ここにあるのは自然。そして自由。もうちょっと来やすければ週1くらいで新鮮な空気と人の心を取り戻すために訪問したい魅力がある。
何気なく流れる水が綺麗だもの。
もはや廃屋となってしまった工場。栄華を極めていた時代もあったことだろう。
更なる試練
風は気持ちいいものの、日差しは依然強い。汗だくだ。ここに来るまで自動販売機を探したが、1台もなかった。早く駅で冷たいものを飲みたい。
なん・・・だと・・・。駅に辿り着くには急勾配を乗り越えなければならないのか。
白丸人道、ないですかね。
まだまだ続くよ!
坂を登り続け、汗はだらだら、息絶え絶え。
券売機、無し。
もちろん駅員さん、無し。
おまけに自動販売機、無し。
しかも次の電車まで30分近く待たなければならないらしい。自販機がないということはコンビニなんてもちろんないわけで。30分待って電車に乗って、飲み物にありつけるのは御岳駅ということになるのか。
昭和の野球部かな?
仕方がないので、周辺で涼めそうな場所を探す。
山奥から水が流れてくる場所を発見。ここは涼しいぞ。キャンプ地にするか。
一体何を実験しているというのか。
あ、真夏に自動販売機がないと観光客はどんな行動を起こすか、だね?
答えを教えよう。ニホンジン、ガマンスルノ、トクイ。ダイジョウブ。
あと5分ほどしたら涼しい電車に乗れる。
なんだろう、一つ一つの風景にグッとくるものがあるな。
しろまる、ここに来るときは水を持ってくることを誓ったよ。
御岳~沢井
15ゴクの奇跡
程なくして御岳駅。
あ・・・、あ・・・・、水・・・・、水・・・・!!
飲み物を買って、ベンチに腰掛ける。
塩分も随分流出してしまったからな。
ゴク、ゴクッ、ゴクッ・・・。ちょうど15ゴクでソルティライチを一気飲みしたことを記憶している。
少しベンチで休憩してすっかり元気を取り戻したので、御岳駅周辺を軽く散歩してから沢井駅に向かおう。
速やかに撤退
いつ見ても立派な駅だなぁ。
さて、お土産屋さんでも覗いて・・・。
めっちゃ人多いな。
鳩ノ巣、白丸辺りはそれほど車が走っていなかったけれど、駅前が比較的栄えている御岳に人が密集するのは納得だ。
以前来たときには暇そうだったお土産屋さんも黒影が犇めいていた。これはもう沢井駅に直行した方がいいかな。澤乃井ガーデンも不安だなぁ。
道中沢山の栗が成っている木を見つける。暦の上では秋だからねぇ。暑いのは10月末までかな。
本日何回目の多摩川だろうか。澤乃井ガーデンは川沿いにあるので、御岳駅から真っ直ぐ青梅街道を歩いてくれば迷うことはないはず。
澤乃井ガーデンに着きましたが、これは大盛況。写真だと分かりづらいが、日陰の部分は満員御礼だ。
ゆっくり蕎麦でも食べようかと思ったが、座ることも出来なそうなので諦めよう。
とりあえず利き酒処で大吟醸を1杯いただき、売店でお土産をいくつか見繕って退却。
つい先ほどソルティライチを一気飲みしたけれど、大吟醸も乾いた体に染み渡ったね。
今日は坂に縁がある。
今年の蔵開きはどうなるのかな。現状だと難しいよね。
時刻は15時半。たった5時間の滞在にはなったけれど、心身ともにリフレッシュ。
暑い中出掛けるのには気合がいるけど、来てよかったと心から思える。
奥多摩に通うようになったのは沢井駅至近の小澤酒造との出会いがあったから。これからもよろしくお願いします。
澤乃井を訪れた際にお土産におすすめなのが「うの花饅頭」と「酒饅頭」。
それぞれ3個入りで360円(税込)。
ビールはお気になさらず。上の2個がうの花、下が酒饅頭。
うの花から。皮はしっとりもっちり。中身はたっぷりの野菜と卯の花。ひたすらに優しくて滋味に満ちている。甘い。素材の甘みが活きている。
ほんのり香るアルコールが大人の味わいを感じさせる。初めてしっかり飲んだ日本酒が小澤酒造のものなので思い入れが強い。
まとめ
ほんの数時間の滞在でも日常の疲れやもやもやを自然の力で癒してくれる奥多摩はまだまだ知らない場所が沢山あって、何度も通いたくなる不思議な場所です。