いきなりですが、質問してもよろしいでしょうか。
カレーライスにおけるトッピングの最高峰に鎮座する食材は何だとお考えですか?
『とんかつ』と答える方が多いのではないでしょうか。
確かに自分もとんかつだと思います。チーズや目玉焼き、夏野菜もいいなと思いますが、やはり最高峰はとんかつで揺るぎないと自信を持って言えます。
カレーにとんかつを載せたものを「カツカレー」と捉えるか、あくまで「カレーのとんかつトッピングである」と捉えるかは人類の課題として今後も活発に議論されるべき問題であると思います。
それは一旦置いておいて、いずれにせよカツカレーにおけるとんかつは、カレーに従たるものと認識されています。
つまりカレーを美味しく食べるためにカツカレーにするのであり、とんかつを美味しく食べるためにカツカレーにするのではない、ということです。
「とんかつはトッピングなのだから、従たる存在なのは明白だろ」と思われるかもしれませんが、とんかつはひとつの料理として存在しているので、無条件にとんかつをサブとしてしまうのもとんかつの尊厳を害してしまうのではと考えるところであります。
カツカレーにおけるとんかつはあくまでトッピング。それが悪いと言っているわけではないのです。
しかし、とんかつが主体になっているカツカレーを食べずして「カツカレーはカレーの一種であってとんかつではないんだよ」と断言してしまうことは果たして最善と言えるのだろうか。結論を出すのは、とんかつ主体のカツカレーを食べてからでも遅くないのでは。そう思うのです。
そもそもとんかつ主体のカツカレーは存在するのか。
あったのです。東京都新宿区に。
『とんかつ たかはし』に行こう
中井駅から徒歩5分ほど
西武新宿線中井駅。
この地には以前当ブログでも紹介した洋食屋ぺいざんがあり、何度も足を運んでいますが、 こちらのお店はノーマークでした。
『とんかつ食事処たかはし』
中井駅から徒歩5分ほどの場所にありますが、周囲を見回してみても飲食店はほとんどない住宅街の中でひっそりと営まれております。
普通に歩いていたら見つからないですね、ここは。
お店の中に入ってみると、座席はカウンターが7,8人ほど。後はテーブル席(2名掛け)が1つ、座敷に2名席2つと4名席1つ。
基本的には定食屋のようですが、後にも書くように壁には居酒屋調の短冊がいくつも貼られており、夜は居酒屋として機能しているようです。
謎を呼ぶメニュー表
メニューを見るに、揚げ物が主体であるものの、ハンバーグやオムライスなどの定番メニューも押さえていると。頭についている「特製」って食欲そそられますね。
ハムサラダ1,000円はなかなかのインパクト。ヒレカツ定食と並ぶ価格帯のサラダ、これは気になる。
それはこの際いいのですよ。見てください。
カツカレー950円
とんかつカレー1250円
こんな表記、自分は今まで見たことがないです。
明確に区別された2つのメニュー。「カツ」と「とんかつ」には300円の差があるのですよ。
更に言えば、「カツ」だといかにもトッピングっぽく感じませんか。チキンカツでもカツですし、ミルフィーユカツでもカツですからね。
一方で。「とんかつ」のひらがな表記。これは豚ロースの、あの「とんかつ」しか有り得ない。
いやー、興奮してきましたね。これを確かめに来たんですよ。意気揚々と「とんかつカレー」を注文。
「お時間いただきますが、大丈夫ですか?」
そう問いかける女将さん。
もちろん大丈夫ですよ、何時間でも待ちましょう。
裏面もあるので見てみましょう。
???
こちらは定食なのか・・・。そうなると先ほど見たヒレカツやロースカツは一品料理として単品で、ライス250円と味噌汁100円が別料金になるわけですが、いやいやそんなはずはないでしょう。
でも、一品料理には定食の文字がないものなぁ。
チーズオムレツや目玉焼きと同列に並んでいるということは、やっぱり単品?謎は深まるばかりです。
夏の暑さに加えて、壁に貼られた短冊で頭がさらに混乱してきます。
全体的に居酒屋メニューは値段が高めの印象です。
ハムサラダ1,000円は何回見てもインパクトが強いし、フルーツトマト850円も強気。レーズンバター・・・だと・・・・。
イカの丸干しは大メジャーだけど珍味扱いなのか。明太子850円も相当ヤバいな・・・。
決戦!とんかつカレー!
そうこうしていると、
とんかつカレー。
ああ・・・これが・・・追い求めていたとんかつ主体のカレー。
皿は28㎝~30㎝ありそうですね。
とんかつ主体やぞ!と言わんばかりの千切りキャベツ。ナポリタンとパセリもついて華やかですね。
漬物もタクアンですし、これは完全にとんかつ生存ルートを確立しているといって差し支えないでしょう。
いただきまーす。
なるほど、カレーはかなり粘度が高く、辛みが抑えられています。甘、旨、フルーティーというか、とんかつにかけるブルドッグソースを彷彿とさせるような野菜の甘みを感じます。それでいて奥底にスパイシーさと隠し味的な苦みも感じる。
それこそ焼きそばやお好み焼きのソースにしてもいいくらいのどろ感と奥深さがありますね。
うーん、これはカレー単品として見ると好みが分かれそうですが、とんかつとの親和性は非常に高いと言えます。
うんうん、カレーというよりもむしろソース。とんかつを美味しく味わうソースです。
肉はそれほど厚くはないですが、非常に柔らかいです。スプーンで簡単に切れるくらい。
食べ進んでいくとカレーの塩味も強く感じてきますが、お口リセット用に千切りキャベツが活きています。ナポリタンも単独で注文したくなるくらいの完成度ですね。
これはなかなかバランスが取れていて、満足度が高いですね。
あっという間に完食。確かにこれはとんかつを美味しく食べるためのカレーで間違いないです。
こうなってくると、普通のカツカレーはチキンカツだったりするのかな。いや、チキンカツ定食ととんかつ定食を明確に区別していたしな。
明らかにトッピングらしく、カレーライスの上に載せているのかな。いや、それで300円の違いにはならないでしょう。
やっぱり一品料理にカツカレーが載ってるのおかしいでしょ。いや、一品・・・なのか?
どういうことなんだよ。
ちょうどいいときに来たようですね。ごちそうさまでした。いろいろ考えるところはありましたが、凄く美味しかったです。
まとめ
美味しければどっちでもいいよ(職務放棄)。