味覚は移ろい変わるもの。
1週間を終えた金曜日の夜に食べたくなるもの、うーん、寿司でしょうか。蕎麦でしょうか。焼肉というのもいいですね。今は色々制限がありますが、ビールや日本酒も併せて飲みたい。
お酒が飲めるようになったばかりの頃は、「大人はこんなに苦くてえぐみのあるものを有難がって飲むんだろう」、そう思っていたのが今は昔。
大人っていいねぇ。ん?ミートソーススパゲッティ?甘めのカレー?オムライス?
そんなの、子供が食べるものでしょ、いい大人が・・・
ミートソースもカレーもオムライスも大好きです!!!
コーラと食後のプリンもあったら最高です!!!
はい。そんなわけで、美味しいものは老若男女関係ありません。みんなで美味しいものを共有していきましょう。
そんなこんなで、今回は以前から注目していた洋食屋さん『三浦亭@武蔵関』に行ってきましたよ。
マイナー駅と侮るなかれ、西武新宿線武蔵関駅
8月某日。暑い盛りは過ぎたかと思いきや、まだまだ夏は終わらんよという意気込みを感じさせる猛暑日のこと。
ここ2年くらい気になっていた洋食屋さんである『三浦亭』に意を決して突撃しようと、ここ武蔵関に降り立ったのです。
西武新宿線武蔵関駅。西東京市ではなく、練馬区なんですね。
南口を出てから右手方向に駅前通り商店街のアーケードが見えますので、これを目印に真っ直ぐ進んでいきます。
道中、気になる飲食店がいくつかあったので、涼しくなった頃に食べ歩きもしてみたいものです。
予約をしていないが・・・
歩くこと7,8分といったところでしょうか。十字路の手前に三浦亭があります。
何度か来ようと思ってなかなか足が赴かなかったのには理由があって、一つは現在感染予防対策として席数を減らしているため予約が推奨されているということ。
予約するのは構わないのですが、個人的に飲食店との出会いは一期一会と考えているのでふらりと赴いて入れなかったら、それはそれでまた次回というのも味があるなと考えているからです。これに加えて、一人でランチを食べに行くのにランチは大袈裟だなというのもあります。一人でなければ迷わず予約するんですけどね。
もう一つ、店の前で待つのはNGというクチコミを見かけたので、ちょっと店主の方が気難しいのかなというイメージがあったからです。
ま、そんな心配は全くの杞憂だったことをこれから書いていきますけども。
オープンが11時30分なので、11時35分頃を目標にお店に辿り着きました。中を覗いてみても誰も座っていない。いやいや、「予約のお客様がいらっしゃるんですよ、すみません」、そう言われるかもしれない。
そろりと入店、一人であることを告げるとダンディな声で「どうぞ、お好きな席へ。」
ちょっと写真がブレていて申し訳ないです。
確かに店内はカウンター席のみで、元々6席。現在は感染症対策で4席だけ。確かに2人以上で来る場合には予約必須ですね。
それはそれとして、注文しましょう。ハンバーグ、ステーキ、パスタ・・・、王道の洋食メニューが並びますが、今日はもう心に決めた料理があります。
オムライス¥1,050。これを食べに来たんですよ、これを。
オムライス+デザートセット
サラダとスープが供されます。
サラダはよくある感じですが、スープは珍しいトマトのポタージュスープです。トマトの酸味を感じさせながらも、まろやかで優しく、いつまでも飲んでいられそうな美味しいスープでした。
カウンター席なので、調理風景をじっくり見ることができます。
最近成形したチキンライスの上に半熟とろとろの卵を流し掛けたり、あるいはたんぽぽオムライスのようにオムレツを開くと見事にコーティングされるタイプのものが主流だったりするじゃないですか。
でもね、オムライスってこれですよね。
まんまるこんもりして可愛らしい、チキンライスをぐるりと一巡するオムライス。家庭で作ろうとすると難易度が非常に高いこのタイプ。
王道オブ王道。みんなが好きなオムライス。子供の頃にデパートに併設されたちょっといいお店で出てくるオムライス。
嗚呼、オムライス。オムライスフォーエバー。
卵の表面はしっかり膜を張っているのに、中はとろとろ。これを当たり前のように実践できるのがプロがプロである所以ですね。
チキンライスの具は玉ねぎ、鶏肉、マッシュルームの3種の神器。具材の火の通りが均一で渾然一体感あり。べちゃべちゃでなく、それでいてぼそぼそでもなく、絶妙なウェッティ感。
ケチャップをしっかり炒めて酸味を飛ばすのがいいと最近よく気がするけれど、やはり酸味が適度に残っているオムライスがやっぱり美味しいです。
そして、特筆すべきはオムライスに掛かっているデミグラスソースでしょう。
デミグラスソースといえば、旨味と甘みが前面に押されて直線的に「旨い!」と感じさせるものが多いですが、こちらのデミは非常に複雑な味の構成をしています。
確かに旨味やコクを感じるのですが、まずは苦みがガツンと来る。ただ、その苦みも「う、苦い・・・」となる一歩手前で踏みとどまっており、トマトの酸味と卵の甘みを指揮するような的確な苦みを与えています。絶妙。
普通のデミソースならば、半分くらいまで食べ進むころは旨味の重奏で無心でいられるでしょうが、後半もったりと重く、飽きが生じてしまう恐れがあります。
そうなると、こちらのデミソースはオムライスを最後まで美味しくいただくためのソースであり、切っても切り離せない関係といえるでしょう。
なんてことを考えていたら、ぺろりと平らげてしまいました。
今日はリッチにデザートまで付けました。密度を感じるプリンは、どこか懐かしさを纏いながらも気品を放っています。
珈琲を飲みながら、ああ素敵なお店を見つけたなという満足感。
続々と入ってくるお客さんのオーダーを受けて作られる料理は、その過程に一切の無駄がなく、丁寧で繊細です。
一つ一つの調理行程が終わったら調理器具を洗う。その所作が自然過ぎて厨房に溶け込んでいるけれど、食材に丁寧真摯に向き合い、調理器具に最大限の敬意と愛情を示す。
料理の基本を見せつけられた気がしました。
デザートを食べ終えてお会計。「ありがとうございます、またお願いします」。全然気難しいオーナーじゃない、居心地のいい場所でした。ごちそうさまです。
まとめ
食べ歩きしにくい時勢ではありますが、苦境の中で頑張っている飲食店を少しでも応援したい。混乱が落ち着いた頃に素敵なお店が無くなっていたら悲しいですからね。
更新ペースが低いため、全てを取り上げるのは難しいですが、可能な限り紹介していきたいものです。