うたかたラジオ

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僕がレオパレスをおすすめしない、いくつかの理由

レオパレスといえば、敷金礼金ゼロで、家具家電も備え付け。インターネットは整備され、電気水道ガスも気兼ねなく使うことができる。

これだけ聞くと、「なんて良心的な物件だろう!」「一人暮らしに躊躇していたけど、家具や家電も揃えなくていいなんて素晴らしい!」、そう思いますよね。

しかし、レオパレスの物件に関して良い噂は聞かないです。確かに最初の一文で挙げた内容に間違いはないけれど、それを遥かに上回る悪評がそのすべてを無に帰している感があります。

数ヶ月前、1996~2009年に施工したアパートに建築基準法違反の疑いがある施工不良が発見されたとして、不適合物件の改修を迫られていますよね。いかにコストを削って利益を確保するか。粗悪乱造というか、安かろう悪かろうの不誠実な経営方針が疑われます。

www.nikkei.com

こんなことがあって矢継ぎ早に次の問題が噴出。
www.tokyo-np.co.jp

 この異常な夏の暑さでエアコンが自動停止するというのは、場合によっては人命に関わりますよ。

「温暖化対策を踏まえ、節電目的で推奨していた。既にやめており、今後は設置しない」

↑この言い訳も苦しすぎます。

仮にこういったニュースを別としても、ただ叩きたいわけじゃないんですよ。自分も20代頭の頃に一時的に(1か月半ほど)レオパレスの物件に住まなければならない時期があったので、そのときの経験も含めて語っていこうと思います。

 

 

あれは、僕が大学4年生の冬のこと。当時注力していたことが成功し、これに関連してある勉強会(研修)に参加することになった。しかしながら、その会場は都内にあるものの一人暮らしする自宅からは非常に遠く、毎日通うことは肉体的精神的に辛いため、マンスリー物件を借りることにした。加えて、一度欠席(数分の遅刻ですら)するとその研修で積み上げてきたものがすべてチャラになるというオワタ式プログラムであったため、安全策としてもその案が有力であった。

マンスリー物件と言えば、『レオパレス』。それほどにこの会社は有名である。敷金礼金ゼロで家具家電もついていて、光熱水費も込み込みとは。貧乏学生には有難い話だ。

仮に引っ越しをするとなれば、家電は今まで使っていたものを使うにしても、敷金礼金は少なからずかかるのは覚悟しなければならないし、前家賃というものも必要になってくる。学生用のアパート(都内で月6万円程度と想定)でさえトータルとしては30万円ほどにはなってしまうだろう。そもそも研修会場付近は寂れたところで、引っ越しをする積極的な動機にはなりえない。1か月半を何とかやり過ごせる宿が必要なのだ。

この状況で1か月半込み込み10万円弱の物件を提示されたら、よほどのことがなければ拒否する理由はない。

 

そのような訳で、僕はレオパレスの物件に即決の判断を下した。研修会場から3駅という好立地。しかし、駅から物件までが若干遠い。徒歩12、3分というところか。しかも近所に商店的なものは何もない。辛うじて自動販売機が点在しているくらいだ。

ただ、これについては個人的にはさしたる問題ではない。何が問題かというと、家としての機能の薄さ。この一言に尽きる。

まず、レオパレスに住んだことがある人の9割強は感じるであろう、壁や天井が薄い。音は漏れる、振動は響く。隣の人が何のテレビを見ているかがわかるし、何を話しているかもわかる。上の住人が普通に歩いていても「ドスドス」。ものを落とせば鈍器で殴りつけたような音。誰かが冗談交じりに言う「自分の部屋のチャイムを鳴らされたと思ったけど、実は隣だった」という鉄板ネタも、住んでみると冗談ではなくなる。携帯電話のバイブレーションも自分のものかと勘違いするほどであるし、壁がベニヤ板一枚なのではないかと錯覚するほどにプライバシーは守られていないと思っていい。

 

不動産登記法上の『建物』の定義は、「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供しうる状態にあるもの」をいうとしているが、確かにレオパレスの物件は風で飛ぶわけでもなく土地への定着性は認められ、屋根と周壁がある以上外気との分断性も確認でき、人貨滞留性も辛うじてあると判断されることから、間違いなく建物ではある。

しかしながら、そのレベルは留年ギリギリレベルと言わざるを得ない。ギリギリビルディング。ギリギリビルディング工業株式会社だ。創設1899年。

外気との分断性はあるといったが、分断性があるだけで効果があるとは言っていない。上述の通り、僕は冬に一時滞在していたのだが、とにかく部屋が寒い。無駄に天井が高いので、暖房をつけても下の方は暖まりづらい。ロフトもあったのだが、そこは窓際が異常に寒く、暖房も届かない。外は格子戸を通して見る形になり、さながら牢獄である。休日にロフトに登り、雨が降りしきる外を見ながら本を読んでいるときは、世界に自分がたった一人取り残されているのではなかろうかという疎外感を覚えた。

 

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正直、建物としての脆弱性が非難の中心であるので、一つの回線をアパートマンション全体で共有しているレオネットが亀の歩みのような回線速度であるとか、キッチンが狭すぎてどのような用途を想定しているかが不明であるとか(大人の男性がギリギリ電車ごっこができそうな幅。ギリギリトレイン。ギリギリトレイン工業(以下略))、謎の退去費用を徴収してこようとするところだとか、ベランダ部の仕切りがないだとかはもはやどうでもよくなってくるのが憎めないところだ。入居審査もなく、初期投資を極限に抑えることができるため、今回のような一時滞在には非常な有用であるし、とりあえず住所を獲得したいとか雨風がしのげればいいと考えている人には好条件であることに違いない。必要悪なのだ。

ちなみに全く別のウィークリーマンションも利用したことがある。北関東の小さな不動産会社であったが、溢れんばかりの優しさ、温もりてぃを感じる対応であったし、住み心地もレオパレスの比ではない。騒音振動に悩まされない素晴らしさ。ソファもパソコンデスクも用意されている。1週間2万円もしなかったような記憶だ。2週間の滞在だったが、もっと住んでいたいと思えるほどだった。

 

季節は巡る。住み始めた頃は雪がちらついていたのに、今はもう草花が芽吹き始めている。あと数日で楽しかった大学生というモラトリアムを失う。その〆がこれか。感慨深い。

苦境に耐え抜きながら、研修は無事幕を閉じた。あの無我の空間で夢想を深めたため、人間として大事な何かを失うとともにかけがえのない他の何かを手に入れたような気がする。

振り返ってみると、とんでもない物件ではあるが、やはり安価に身一つで引っ越すことができるという点は大きなメリットである。見えている特大地雷を踏み抜かなければならない場面ももしかしたら今後出てくるかもしれない。

 

そのときはまた共に戦おうぜブラザー。