うたかたラジオ

浮かんでは消えるうたかたのように儚い言葉が、あなたに届きますように。

【Charlotte】たとえ“化け物”と呼ばれようとも【考察】

過去最高文字数

とある知人の勧めでアニメ『Charlotte』を観ることになりまして、めでたく視聴完了したので、内容を振り返りながら感想をつらつら書いていきたいと思いますよ。

Charlotte(シャーロット) 1 (完全生産限定版) [Blu-ray]

Charlotte(シャーロット) 1 (完全生産限定版) [Blu-ray]

 

映画以外でアニメを観るの自体久しぶりだったので、とても新鮮な気分です。最後に観たのは『あの花』だったかな。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 Blu-ray BOX(完全生産限定版)
 

※最後まで書いてから戻って来ていますが、10,000字を超える長文になってしまったので、興味を持たれた方はブックマークなどをして読まれることをお勧めします。

 

 

まず、Charlotteの物語のあらすじをWikipediaから抜粋。

思春期の少年少女のごく一部に、不完全な「特殊能力」が発症する世界。他人の体を5秒だけ乗っ取る能力を持つ少年・乙坂有宇は、これを人知れず悪用しエセ優等生生活を送っていた。

しかし、星ノ海学園生徒会の友利奈緒と高城丈士朗に見破られ、妹・乙坂歩未と共に学園に転入、生徒会で自分たちと同じ能力者に警告する活動に協力することになる。

生徒会には人気アイドル・西森柚咲も加わり奇妙ながらも楽しい日々を送っていたが、歩未が「崩壊」能力を発動して死亡。妹の死を受けて自暴自棄になった有宇だったが、友利によって立ち直る。

友利に連れていかれたライブで有宇は突如、「タイムリープ」能力を持つ兄のことや自分の本当の能力が能力者の能力を奪う「略奪」であったことを思い出す。

その後、視力を失った兄・乙坂隼翼と再会。隼翼の「タイムリープ」能力を自身の「略奪」の能力で譲り受け、歩未を救出することに成功した。

しかし能力者を狙う外国人組織に襲われ、有宇は片目を失う。再び海外テロ組織に狙われることを危惧する隼翼に、有宇は世界中の能力者の能力を奪い問題解決しようと決意。友利は帰ってきたら恋人になろうと約束して送り出す。

有宇は海外に旅立ち次々に能力を奪っていくが、弊害として次第に記憶を失い能力を集め続けるだけの化け物のような存在になっていた。ようやく目的を果たした有宇は過去の記憶を全て失っていた。

再会した友利は自ら有宇の恋人だと名乗り、これから幸せな人生にしていこうと語りかける。

 

内容を振り返りながら考察

物語は大きく1話から6話Aパート、6話Bパートから9話Aパート、9話Bパートから12話、13話の4つのパートに分かれる。

 

1話から6話Aパート【起】

能力者の日常

主人公・乙坂有宇(おとさか ゆう)は『5秒間だけ人の体を乗っ取る』という特殊能力を用い、小さな悪事を繰り返していた。そんな下らない日常が、星ノ海学園生徒会の友利奈緒(ともり なお)と高城丈士朗(たかじょう じょうしろう)によって奇妙な使命を持った非日常に変わるという起承転結の【起】のパートである。

特殊能力を持った人間が格好の研究対象になることは火を見るより明らかであり、多感な時期にのみ発現する病というべき症状を“学校”という形で隔離・保護することが星ノ海学園の設立目的であり、生徒会の至上命題だ。

 

生徒会のお仕事

6話までは生徒会の友利、高城、無理やり引き込まれた有宇、“ゆさりん”こと“西森柚咲(にしもり ゆさ)”こと黒羽柚咲の4人で各地に散らばる能力者に接触し、能力を使うことを止めるように説得する展開が続く。

子供の頃は「走るのが早い」だとか「絵が上手い」といった才能に強く憧れる時期が少なからずあると思う。その中には努力で埋められるものもあるし、そうでないものもある。中学生から高校生くらいの多感な時期に人とは違った特殊能力が発現すれば、それを誇示したり悪用したりすることは誰しも考えつくところであるし、納得できる。本作に登場する能力者は「念写」や「飛翔」などの能力を持っているが、所詮は子供であって世間を揺るがすような悪用には用いずに、せいぜいイタズラ程度の可愛いものである。

しかし、先に書いたように能力者が異端であるとして凄惨な結末を迎えるということは中世の“魔女狩り”にも表れており、科学の犠牲になることから逃がすため、普通の人としての日常生活に回帰させるために能力を使うことがいかに危険であるかを説く必要がある。

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まさかこれが淡々とラスト近くまで続くとは思っていなかったが、6話までの楽しい展開(正確にはAパートまで)に急転直下の事態が訪れる。

 

6話Bパートから9話Aパート【承】

日常の崩壊

6話Aパートでは、有宇の妹である歩未(あゆみ)が能力者なのではないかと疑いがかけられるが、基本的にはいつもの楽しいノリである。しかし、Bパートで事件が起こる。

歩未は家庭的で人懐っこく、可愛らしい女の子であるため、クラスの男子に人気がある。歩未は及川くんという少年に告白されたが、有宇お兄ちゃん大好きな歩未はこれを丁重にお断り。

これだけなら微笑ましいが、そこにはドロドロの愛憎劇が存在していたのだ。及川くんのことがずっと好きだった小西さんは歩未を疎ましく思っており、風邪が治ったばかりで病み上がりの歩未を学校の人気のない場所へ追いやり、手にはカッターが…。

 

「及川くんと二人きりで、お弁当食べたり・・・付き合っていたはずなのに!!」

 

あっ、こいつあかん奴や。

 

「あなたがやってきてから及川くんが!!」

 

いやいやいや、誤解だって。歩未ちゃんは悪くないって。小西さん可愛いから及川くんにお似合いだと思うよ!うんうん!思うよ!

 

「及川くんがまるで、私のことを忘れたみたいに、あなたのことばかり!!!」

 

被害妄想、ここに極まれり。痴情の縺れとは恐ろしいもので、小西さんはもう歩未ちゃんを排除するしか方法はないと思うほどに精神をやられてしまっていた。カッターの刃を剥き出しにして、歩未に襲いかかる。

 

命の危機に瀕した歩未は、初めて自己に秘められた能力を発現させる。能力名は『崩壊』。今まで登場してきたようないたずらに使う程度のものではなく、明らかに対人を意識した攻撃的な能力。

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歩未は当然これを制御できるはずもなく、建物ごと崩壊。歩未は自身の能力によって引き起こされた崩壊により命を失ってしまう。

 

歩未の崩壊の能力は人間関係も崩壊させていたんだね。誰が上手いこと言えと。

 

色のない生活

そこからは歩未を失った有宇の転落人生の始まり。

家に引きこもってカップラーメンをすすり、誰とも関わらず悲しみと苛立ちを募らせる日々。有宇を心配して訪問する知人友人にも暴言を吐いて拒絶し続ける。

ある日インターホンが鳴り、外を覗いてみるとマンションの管理人と怪しい2人組。

 

「ついに力ずくで確保に来たか。白柳も頼まれて演技をしていただけかもしれない。ということは、ここらが去り際なのかもな。」

 

有宇は自宅を離れることを決意。ATMでありったけの現金を引き下ろし、潜伏生活を始める。自宅ではカップラーメンだけを食べ続け、潜伏先のネットカフェではピザを主食にしていた。

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なんという偏食。美味しいものを食べれば幸せな気分になれるし、これをストレス発散の手段にする人もいるだろうが、抱えきれないほどのストレスと悲しみに押し潰されて心が死んでしまっては何食べても心は満たされないだろう。

ネットカフェに引きこもるのも飽き飽きした頃、有宇は外の世界でシューティングゲームをすることにはまり、また屋台のみたらし団子を食べることをルーチン化していた。カップラーメンジャンキーからピザジャンキーを経て、ゲームジャンキー&団子ジャンキー。

この堕ちて行く様がやけにリアルで重苦しく感じられた。

 

どこまでも堕ちていく・・・

不規則で不健康な生活サイクルと偏ってボロボロの食生活。思考も回らずに自棄になっている有宇は、スリルを求めて街を彷徨う。自身の能力を悪用すれば、暴力で他人を屈服できることを知ってからは日々喧嘩に明け暮れ、廃人のような生活を送ることになる。

 

「僕が強いだけさ。次僕に刃向かったら、文字通り殺してやるよ。アハハハ、ハハハハ!!アハハハ!!!」

 

1話前の楽しいノリはどこに行ったんだ。主人公が普通に傷害事件起こしてるって、まだ7話だけどこれから軌道修正できるのか?

 

どこまでも堕ちて行く有宇だが、ついに人として越えてはいけないところまで来てしまう。

 

薬。

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たまたま手に入れた薬を吸引しようとしたところ、急に手元を蹴りあげられ、薬が飛び散る。

 

揺れる銀髪、すらっと伸びた脚。友利だ。

 

見守ること

「えっと・・・お前・・・いつから・・・?」

「ずっとです。」

 

友利の能力は、指定したひとりの人間に対してステルス状態になるというものだが、彼女は有宇をステルス状態でずっと見守っていたという。

 

「この先へ進んでしまったらもう二度と、人として戻ってこられません。だから、止めました。」

 

暴力行為も止めなかったんかい、とツッコミを入れる前に彼女の優しさに気づいて欲しい。たぶん何度も有宇を止めてやりたい場面はあったはず。でもそれを自制する有宇に期待していたのではないだろうか。ずる賢くて、嫌なことから逃げて、とんでもないド屑に堕ちて行く有宇がどこかで改心して戻ってきてくれると。

人間としての最低ラインに手をかけようとしたから我慢できずに飛び出してきた。友利は「歩未ちゃんが亡くなったのは自分にも責任がある」と言っているが、その後悔と同時に有宇に寄り添い癒してあげたいという感情も少なからずあったのではないかと思う。いつもクールで素っ気ない友利だから、そういう姿を見てみたいというのもある。

 

突然の出来事に戸惑う有宇に友利が提案する。

 

「とりあえず、まともな食事をする・・・というのはどうでしょうか?」

 

そして、こう付け加える。ネットカフェのピザにサラダがついていたのは店の厚意じゃなかったのだ。優しい天使の仕業だった。

 

「一口だけです。それでもう二度と、お互い関わらないと誓いましょう。」

 

忘れられない味

やさぐれている有宇は渋々これに了承する。友利に連れてこられたのは家人不在の高城の家。そこで振る舞われるは、今は亡き歩未がよく作ってくれたオムライス。ただのオムライスではない、ひでんオムライスだ。

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一口食べてみる。あれ?歩未がよく作ってくれた甘ーいピザソース味の美味しくないオムライスによく似ている。いや、同じだ。

友利の手には使い込んでボロボロになったレシピブック。歩未は母親が残したレシピを忠実に守ってオムライスを作り続けていたのだ。

だって、お母さん特製オムライスは有宇の一番の好物だったから。

歩未ちゃん、いい子過ぎるだろ・・・。

 

「クソッ!甘くてまずいのに、なんだよこれ!!」

 

泣きながらオムライスを頬張る有宇。食べ終って友利にぼやく。今後自分はどうしたらいい?と。

 

「また、生徒会に戻ってくるというのはどうでしょうか?」

「でも、僕とお前とは、二度と関わらない約束をしてしまった。」

 

何のことでしょうかと、とぼける友利。

 

「一口だけにとどまらず、ぜーんぶ平らげちゃったじゃないですかぁ。うっわぁ!関わるき満々なんだぁ。と驚いてみていました。」

 

疲れた顔ながらも優しい笑みを浮かべる有宇。友利も優しい笑顔で受け入れる。

 

友利最高!ともりん!ともりん!

 

これからやり直せる

ここからゆっくりと日常を取り戻して行く。いつもの学校。いつもの生徒会。

 

「ここにZHIENDのライブチケットが2枚ある。さて、これをどうしようかと言うのが問題だ。」

 

ZHIENDは友利が好きなポストロックバンド(ポストやで!)であり、生徒会メンバーのうちの一人を誘ってライブに行きたいらしい。

 

ここで抜擢されるは有宇。ですよねー。

 

ライブの前日、有宇は偶然にもZHIENDのボーカル・サラに出会う。後に書くが、サラは今後の伏線となる重要な登場人物である。

彼女は失明しているが、それは先天的なものではないらしい。彼女いわく、

 

「これは懺悔なんだ。罪滅ぼしのようでもあるな。」

 

彼女はバンドマンになる夢があったが、歌も楽器も下手で気付いた時にはもう手遅れの状態だったそうだ。でも今となっては有名なバンドボーカルとして名を馳せている。夢を叶えて大層なことじゃないかと思えるが、彼女は「ズルをした」と振り返る。その代償が視力だというのだ。

 

「最後になぁ、引き換えに視力を渡して・・・ZHIEND(ジエンド)さ。」

 

そして、なんとも意味深な台詞が放たれる。

 

「けど、もしそんな日が訪れた日にゃ、上手くやれよな!」

 

有宇に“そんな日”が訪れることを予見しているような、伏線を感じさせる言葉。

 

その後、有宇はサラを連れて友利の兄の病院に向かう。友利はバンドマンを目指す兄に影響されてZHIENDを聴くようになった。その兄は発現した能力を解析するために科学者たちのモルモットとなり壊れてしまった。その描写は物語序盤から描かれており、症状が回復する見込みは絶望的である。

 

しかし、サラとの出会いで彼に奇跡が起きる。サラの歌声で一瞬ではあるが、正気に戻ったのだ。これは大きな一歩だ。

 

友利から有宇に電話が入り、兄のために動いてくれたことにありがとうと感謝される。お、デレてきたぞ。ツンデレの典型だな。かわいいねー!

 

ライブ当日

そして、明けてライブ当日。はしゃぐ友利とそれを見て嬉しそうな有宇。これ、できてるやつですわ。

ライブが始まり、サラの熱唱は続く。会場のボルテージは上がり続け、

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「うぁああ・・・・!!!覚えている!!聞いたこともないハズなのに!」

 

有宇に異変が起こる。そして叫び声とともにブラックアウト。

 

ここで【承】パート終わり。この時点でいつもの記事の二倍くらい書いているが、このまま駆け抜けることにする。

 

9話Bパートから12話【転】

僕の本当の力

目を覚ますと、研究所のようなところで亡くなったはずの歩未と音楽を聴いているシーン。

 

歩未ちゃん!

 

場所は食堂に移り、そこで突然“お兄ちゃん”の話が始まる。有宇お兄ちゃんではなくて、有宇の更に上のお兄ちゃんがいるそうだ。兄弟のうちに能力者がいる場合、他の子にも能力が発現する可能性が高いとのことだが、有宇の兄も多分に漏れず能力者である。しかも相当高レベルの能力の持ち主。

 

「兄さんの能力はあまりにも突出しすぎている。不可能だ。」

「時空移動・・・タイムリープだ。」

 

それは研究対象になってしまうだろう。あまりにも強大で不可思議だ。

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「僕の能力は相手に五秒だけ乗り移れる。それだけだと思われている。本当の能力がバレていれば、兄さんと同じように完全に自由を奪われているはず。」

 

そしてまた意味深な台詞。本当の能力?兄と同じくらいに強力な力ということ?

 

そこにいつものびしょ濡れ男こと熊耳が現れる。

近くにいるリーゼントに乗り移れと言われ、実行。そして熊耳から謎のメモを受け取る。何が行われているというのだ。

 

その後、新キャラが3人。今後物語に大きく関与してくるのだが、現時点では多くは明かされない。別室で食事を取らされていることから、兄に準ずる程度には高い能力の人間であることが推測される。

 

また場面変わって、歩未ちゃんがおじさん二人組に連れていかれそうになる。

 

「待て!おかしいだろ!!能力を持たない妹が、呼び出しをくらってるなんて!!!」

 

確かに隔離する必要はないだろう。まさか“崩壊”の能力がバレてる?

 

歩未を取り戻すために奔走する有宇。その途中、謎のおじいさんから助言が。

 

「立ちすくんでいる場合か!お前の持つ真の能力を使えば助けられるだろ!!」

 

このじいさん、一体何者だ?

 

「略奪という最強の能力!」

 

めちゃ強ですやん。要するに能力者の能力を奪って自分のものにするということでしょ。じいさんの言葉に鼓舞され、熊耳のメモに従って計画を実行することに。

この施設の何処かにいる兄を見つけ出せば、歩未は助かる。先ほどのリーゼントから奪った“粉砕”の能力で鍵を壊し、他に奪ったテレパシーで兄の位置を確認する。

そして。先ほど隔離されていた3人と合流し、略奪の能力により力を付与され、兄のいる部屋へたどり着く。熊耳メモ流石である。

 

そこで兄はタイムリープの力を解き放ち、ブラックアウト。

 

兄の元へ

有宇は病院のベッドの上で目を覚ますと、傍らには友利が座っている。有宇は夢の中の話を取り留めもなくぽつりぽつりと話し出し、友利は記憶が混濁している彼を心配している。そこに熊耳が現れる。

 

「落ち着け、こっちもそのつもりで来た。黙ってついてくれば、お前が疑問に思っていることを全て氷解する。そして、助けに行くんだ。妹さんを。」

 

歩未ちゃんが助かる・・・?突然の言葉に混乱し、次第に怒りを露わにする有宇。対して冷静な熊耳は続ける。

 

「今のお前なら、兄、隼翼(しゅんすけ)の能力もわかっているんじゃないのか?」

 

“しゅんすけ”という言葉に友利が反応する。物語の序盤で友利が唯一信頼できる人の存在を口にしていたが、それは彼のことらしい。熊耳が向かおうとする場所には隼翼がいる。有宇と友利は熊耳の言葉を信じ、隼翼の元へ向かう。

 

確かに隼翼は施設にいたが、杖をついており、目が見えていない様子。友利は久々の再会を喜んでいるが、有宇は色々なことが起こりすぎて混乱している。

 

再会を喜ぶのも束の間。事態は一刻を争うため、隼翼は自身の能力と彼の目的について有宇に語り出す。

 

能力の代償

隼翼の能力“タイムリープ”は、記憶のみを過去の自分へ移送するものであり、その代償として視力を徐々に失うのだという。

彼は能力者を守るための組織を作りたいと考えていた。そのため過去に戻り、過去の熊耳とともに自衛組織を徐々に拡大させていく。人員の確保、資金力の増強、信頼できる大人との協力等課題は山積みであるがやるしかない。当然失敗はつきものであり、その度に彼はタイムリープを繰り返し、計画は達成目前。しかし視力は失明間近の状態になっていた。

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「分かってる。もう一度飛ぶと間違いなく目が見えなくなる。だからラストチャンスだ。」

 

特殊能力は成人前の子供に発現するため、能力者を隔離・保護するための学校を作ることが目的達成のための近道であると考え、最後のタイムリープを使うことを決意する。

 

「前にも言ったろ?この能力は思春期を過ぎると消えるって。
だからその間だけ能力者を守るための学校をつくればいいんだ」

 

「俺は最後のタイムリープをした。そして光を失った。」

 

偉大なる兄。凄いよ、にーさん。天才かよ。失明をしたことによって、タイムリープの対価が提供できなくなり、能力もそれっきり使えなくなった。しかし、能力自体が消えたはずではないだろう。それならば…。

 

「能力者の能力を奪い取る。それがお前の本当の力だよ。」

 

有宇がタイムリープを使って歩未を救うことができる。

 

「いいか?飛ぶ先は歩未が能力を発症する日だ。その日に飛び、崩壊という危険な能力を歩未から奪い去ってくれ。」

 

有宇お兄ちゃん、今から歩未を助けに行くからね!待ってて!

 

光を取り戻す

歩未が亡くなる前の日。風邪で寝込む歩未から能力を略奪する。これで彼女は普通の人間として生活を送れるとひと安心。

そして問題のスプラッター小西の処理である。カッターカチカチ音響く現場近くのロッカーに潜んでいた有宇が飛び出す。

使う能力は“崩壊”。演出がニクいね。小西ちゃん、もうこんなことしないでね。

 

『もうシスコンと呼ばれようがなんでもいい。歩未を二度と失いたくない。』

 

シスコンが悪なのではない。シスコンを許容しない世間が悪なのだ。

ここで熊耳が合流。もう少し妹との甘い時間を過ごしていたかったのに。空気読めプー。

妹を助けるという隼翼との約束を守りきったことによって何か吹っ切れた感のある有宇。覚悟を決めたキメ顔で、

 

「ああ。連れていってくれ兄さんのもとに!」

 

兄弟の再会、そしてこれから。

歩未と隼翼の再会。歩未は記憶消去の能力で隼翼の記憶を消されているので、初めましてになるが、すぐに隼翼に懐く。だって兄弟だもん。

穏やかな雰囲気が続くが、有宇が自身の本当の能力“略奪”に気づき、単体でも脅威なタイムリープの能力まで得てしまったことから、能力を失うまでこの隼翼のいる施設で過ごすことを宣告される。有宇が望む日常は能力者ばかりの施設で軟禁状態になるのではなく、友利や高城、ゆさりんと学園生活を送ることであることから、あまりにかけ離れた現実に戸惑いを隠せない。

また、11話ででタイトルであるCharlotteの正体が“シャーロット彗星”であることが明かされる。回を追うごとに少なくなってしまったが、歩未ちゃんの趣味である天体観測がここで繋がる。

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施設の研究者に話を聞くと、400年前にヨーロッパで魔女狩りが行われた際の魔女というのもシャーロット彗星の粒子で能力者になった者たちだったという。 

能力発症を抑えるワクチンの製造は始まっているが、能力発症者にはワクチンは効かず、特効薬を作るのにも時間がかかるとのこと。

夢物語であるが、次のシャーロット彗星が現れるときまでに世界中の未発症者にワクチンを投与できればこの戦いは終わる。

物語はさらなるシリアスに帆を進めて行くことになる。

 

狂い出す歯車

熊耳の能力者センサーが反応。学園に向かう。いつもの運転手さんに乗せていってもらうが、車は全く違う方向に進んでいる。不思議に思う熊耳に今まで口を開かなかった運転手さんが語り出す。家族を人質にとられているらしい。家族を守るためには、あるマフィアグループのいうことを聞かねばならず、熊耳を指示された場所に連れて行くつもりだという。

 

熊耳は抵抗せず、指示されたという廃工場に到着。熊耳は運転手さんを逃し、敵運営と対峙するも突然ゴリマッチョにボディーブロー&エルボーを食らいノックアウト。気づけば地下の薄暗い部屋で椅子に拘束されていた。傍らには注射器やメス、ペンチなど凶器になりうるものが並べられている。彼らの目的は、能力者の場所を聞き出すこと。つまり、拷問する気だ。

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もはやここまで来てしまうと、有宇がやさぐれて喧嘩上等の毎日を送っていたのが可愛く思えてしまう。

なかなか口を割らない熊耳に苛立ち、先ほどのゴリマッチョが全力の顔面パンチ。歯が吹き飛ぶ。

それでも吐かない様子を見て、明らかにヤバげな注射をされる。自白剤だろう。ついこの前の『アントマン&ワスプ』の記事で自白剤のシーンを面白おかしく演出しているということを書いたが、こっちの世界では痛々しくて救いがない。熊耳が一体何をしたというのか。

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目を覚ました熊耳の体はボロボロ、両手の爪まで剥がされていた。ぽつりぽつりと謝る熊耳だが、こんな拷問を受けて吐かない人間の方が異常なのではないだろうか。

 

能力者の居場所を聞き出したマフィア達は友利の家に忍び込み、彼女を誘拐。これを餌に最強の能力者である有宇をおびき寄せようと考えたのだ。

マフィアの要求は有宇一人で廃工場へ来いとのこと。隼翼は有宇の能力を駆使すれば勝ちの目があると考え、説得を試みる。しかし有宇はあまりに危険で重大な任務に戸惑い、自分はズルをして自分を大きく見せようとする人間だ、そんな奴には無理だと興奮してしまう。これを一旦なだめ、もう一度ゆっくり考えて欲しいと彼を一人にする。

 

「歩未のときもそうだった。失ってから気付いちゃ遅いんだ。」

 

大切な人を失う痛みがわかる。友利は有宇にとってかけがえのない人物だ。そして、彼女を救えるのは自分しかいない。彼は決意する。

 

単身、敵陣に乗り込むが・・・

しかし、ここからが茨の道である。有宇は単身でマフィアに対抗するが、不意打ちで右目を潰されてタイムリープを封じられ、さらには肩にナイフを突き立てられて確実に死が近づいている。ここで崩壊の能力が発動。建物もろとも崩れ去る。

 

結果、マフィアは逮捕され、有宇は重傷、友利は軽傷。熊耳は友利を庇って死亡。

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有宇はリハビリを続けてなんとか歩けるようになったが、目が潰された今タイムリープを使うことはできず、死んだ熊耳は戻らない。

有宇を心配して生徒会のメンバーがお見舞いに訪れる。それぞれの優しさに心癒されていく有宇。大事な人を守れた達成感、そのために犠牲になった兄の友人のこと、自分があのとき死んでいたら歩未はどうなっただろうか。様々な感情がぐちゃぐちゃになっていたことだろう。

 

「兄さんが・・・。歩未を僕は目の前で失っている。熊耳さんも、兄さんにとっては同じように・・・・。今回の事件でもし、僕が死んでいたら、歩未はどうなっていたんだろう・・・。」

 

事件以来塞ぎ込んで屋上で多くの時間を過ごしているという兄に会いにいく。親友を失った隼翼は、いつかの有宇のように廃人間近となり、腑抜けになってしまった隼翼の口からは力ない言葉が出てくるだけ。

 

今の有宇には隼翼を再び奮起させるだけの気持ちも言葉も持ち合わせておらず、病室に戻ることにする。

すると、病室には友利がいるではないか。いつものノリで、ちょっと寄っただけというような彼女にホッとする。有宇は自分がこれからどうしていいかわからず、友利問いかけてみる。

 

「もう誰も失ったり不幸にしたくない。僕の力でなんとかできるならしたいけど方法が分からない。」

 

『僕はどうしたらいい?』、と。この質問は二度目である。一度目は有宇が歩未を失って自棄になり人間としての超えてはいけないラインを超えようとしたとき。冷静な判断ができなくなった彼を正しい道に導いたのは友利の言葉だった。

タイムリープで歩未を助けているので、有宇にとっては二度目だが、友利にとっては初めての『どうしたらいい?』だ。有宇は友利を心から信頼している。彼女は素っ気なく意見を提示するが、それはいつも正しい。

 

「だったらあなたが今現存する全世界の能力者の力とこれから発症する力全てを奪えば終わります。」

 

いや、簡単に言うけど、世界には何万人、何十万人と能力者がいるはず。それを有宇ひとりで、しかも彼が能力を失うまでの数年間で達成するのはあまりに途方もなく、不可能なことのように思える。

呆気にとられる有宇だったが、友利はこれが思いつく唯一の方法だと言った。もし仮に実現できたとしても、有宇が有宇のままでいられるか…。

 

「全人類を滅ぼしかねないくらいの化け物にもなりえます。そうしてなお正気で己を抑え続けられるか・・・」

「まあ私の策にしては無謀が過ぎました。忘れてください。」

 

立ち上がり、病室を出ようとする友利を引き止める。そして、彼女の提案通り世界中を巡ることを宣言する。

驚く友利。なんでそんなに簡単に答えを出せるか怪訝そうな様子だ。有宇は何度も友利に救われて来た。今度は僕がお前を救いたい。何で?と返す友利。

 

決意

「お前が好きだから。」

 

で、でたーーー!!青春ものお決まりパターンである。でも、唐突すぎる告白にも思えないし、彼が友利に惹かれるのはよく分かる。

友利もいつものスタンスで何言ってんだ、こいつという様子で食ってかかる。夫婦漫才だ、これ。

「好きだ→何で?」を何度か繰り返した後、友利はこう言う。

 

「だったら言いましょう。待ってます。と」

 

「全ての能力者を救ってもう一度会えることを。」

 

「そのとき私たちは恋人同士になりましょう。」

 

友利の表情は優しい。不器用な彼女なりの愛情表現なのだろう。たぶん思っていないことを口にすることはできない真っ直ぐな彼女だからこそ、この言葉が出て来たのだ。

 

その後、友利は腕を広げ、自分の能力を奪ってほしいと告げる。そうか、能力を奪うってこういうことか。

彼女も自身の能力によって悩んだり苦しんだりすることがあっただろう。最初こそ物珍しくて万能感が得られるかもしれないが、能力は病のようなものであり、この病のせいで命を追われることもある。アイドルの引退会見で「普通の女の子になる」という言葉をよく耳にするが、多感な時期にできてしまった空白を後から埋めるのは非常に困難であり、取り返しがつかないことである。友利のように苦しむ人を救うのが有宇に課せられた試練である。

 

屋上でくすぶっている隼翼に決意を表明する。

 

「兄さん。話を聞いてほしい。僕が全世界の能力者の能力を奪い助けてみせる。」

 

隼翼は有宇の言葉に冷ややかだ。本気で言っているのか。そんなことできるわけがない、と。

 

有宇の決意は固い。

 

「もちろん。すでに友利の能力を奪った。もう始まってるんだよ。僕は引き返せない。」

 

有宇の足に気圧された隼翼は、正気に戻り、彼へ方向性を示唆する。そうそう、隼翼お兄ちゃんはこうでなくちゃ。

 

他の生徒会メンバーと出会う。彼らは悟ったように自身の能力を差し出す。彼らも能力を持ったことで日常を壊されてたもんな。

 

海外へ向かう準備を終え、家から出る有宇の目の前には友利の姿が。他には英会話の単語帳が握られており、これを使えば最低限の会話はできるとのこと。一晩でこれを作った彼女なりの愛情である。

 

いってきます。いってらっしゃいませ。

 

多くの言葉はいらない。戦地に向かう夫を見送る妻のようではないか。優しい空気が伝わってくる。

 

そして、最終話を迎える。

 

13話【結】

旅立ち

世界にはまだ見ぬ能力者が散らばっている。読心術、他言語翻訳術、能力者探知能力(熊耳…)等々。

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思ったよりも計画は順調に進み、有宇は次々と能力を略奪していく。病気を悪化させる能力、寝なくても活動できる能力、略奪した能力を分析する能力。

どんどん人間離れしていく有宇であったが、急激に能力を取り入れてきた有宇の脳は悲鳴を上げており、急激な疲労感や意識の混濁、記憶のまだら化が彼を襲う。能力は病のだもの。取り入れるだけで体に負担が蓄積する。一人だけというプレッシャー、目標の重大さに押し潰されそうになっていることが拍車をかける。

とある村で“治療”の能力を手に入れ、失った右目の回復が頭をよぎるが、彼は能力を使わなかった。能力を奪われてしまった女の子は善行に用いていただけに酷なようであるが、能力を持ち続けることによって彼女はいずれ危険な目に遭うし、能力の代償を払い続けなければならない。これも選択なのだ。

叶えるべき約束

彼が目指すのはタイムリープして過去をやり直すことではなく、能力者のいない世界をつくること。薄れゆく自我の中で当初の目的を忘れない有宇の強さが現れる瞬間である。物語の冒頭でせせこましくカンニングのために能力を使ったり、中盤で廃人化して喧嘩の日々に明け暮れていた頃の彼はもういないのだ。フィジカルだけでなくメンタルの成長が著しい。

 

途中、有宇が目標を見失いかけたときに心の支えになったのは友利の作ってくれた単語帳だった。

 

「そうだ僕は約束したんだ。世界中の能力を全て奪い取り、”あいつ”のもとに戻るって。」

 

能力によって他言語を完璧に操ることができるし、単語帳の出る幕は無くなっている。今となっては何処の誰がこんなものを用意し、何故自分がこれを持っているかもわからない。

 

「“あいつ”って・・・誰だっけ?」

 

ただひとつ言えるのは、この単語帳が有宇にとって大切なものであり、過去と現在の自分を繋ぎとめてくれる唯一のアイテムだということだ。

 

「どうしてなんだよ・・・どうしてこれを蹴飛ばしたことを後悔してんだよ・・・」

 

長い旅ももうすぐ終わる。最後の能力者を求めて、ボロボロになりながら路地裏を行く。すると突然背後からボウガンで脚を貫かれ、続いて脇腹。さらには心臓付近を撃ち抜かれる。

 

最後に残されたものは・・・

ここで最後の能力者が有宇を庇いに飛び出してくる。小さな女の子だ。

 

「まさか最後の能力者の力が勇気だなんてな・・・」

 

「だがそれは蛮勇。死んでいたところだぞ。」

 

確かに丸腰で突っ込んできた女の子の行為は勇気というより無謀である。しかし、その勇気に有宇は力づけられる。

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女の子の能力を奪い、彼女を逃がしてあげる。ボウガン男は仕切り直して有宇を狙う。

 

ここでヘリに乗った隼翼お兄ちゃん登場。正義は必ず勝つのだ!

 

ただいま。

舞台は病院のベッドの上に移る。過酷すぎる旅を終え、体を癒す有宇が目覚めると、いつだったかのように傍に座る友利の姿が。

 

「お疲れさまでした。約束守ってくれたんですね。」

 

優しい微笑みだ。まさに女神。やっぱり笑っている方が可愛いよ。

しかし、有宇は友利をが誰であるか認識できない様子。無理もない、短期間に能力を取り入れすぎた。その代償として記憶を失ったのだ。

 

困惑する有宇に友利が一言。

 

「私はですね・・・あなたの恋人です!」

 

この子は強い子だ。有宇の帰りを待っている間、心細かったろうに。そして約束通り戻ってきた最愛の人に忘れられてしまっているのに…。それでも強気に自分があなたの恋人だと言葉を紡ぐ。有宇はボロボロの単語帳をさすっており、それが友利にとってどれだけ嬉しいことか。

高らかに再出発のベルを鳴らそう。失くしてしまったものは、また拾い集めればいい。

 

「乙坂 有宇君」

「おかえりなさい!」

 

ここで初めてのフルネームというのがニクいね。

 

「これからは楽しいことだらけの人生にしていきましょう!」

 

友利の素敵すぎる笑顔で終幕。

 

最後にちょっとだけ補足

有宇が記憶を失ったのは、もちろん数え切れないほどの能力を短期間に略奪したことによる脳への負担が大きいと思うが、その代償はそれのみによっていたのだろうか。

能力には代償が伴う。隼翼の“タイムリープ”は使用の度に視力が落ちるものであり、能力が強大であればあるほどにその代償は大きくなる。

有宇の“略奪”は、そのペナルティが5秒間の意識転移だけなのだろうか。恐らくそうではない。作中で登場する様々な能力の中にはタイムリープに比肩するほどの強力な力が存在する。言い換えてみれば、自然の摂理に大きく反するような力だ。これらに課せられたペナルティはこれに比例するはずであり、この複合的要素により記憶を失ったのだろう。

物語の中盤でサラが言ったセリフが思い出される。

 

「けど、もしそんな日が訪れた日にゃ、上手くやれよな!」

 

きっとサラもかつて能力者だったのだろう。ズルをしてしまった代償は必ず払う必要がある。サラが視力を失ったのが本当に能力の代償なのだとすれば、隼翼同様に強大な能力であったに違いない。

サラがここまでエスパーのような先を見通した発言をすることができるのは、持って生まれたものなのか、視覚を失ったことによって第六感が研ぎ澄まされたのか、はたまた大きすぎた代償のお釣りとして習得されたものなのか、真実はわからない。

しかし、「上手くやれよ!」には能力者の先輩としての自戒と激励が含まれているように思う。

オープニング曲の『Bravery You』は、世界中で最後に残された能力“勇気”を示唆しているのだろうか。物語を見終えた後に聴くと全てがつながる。たとえ化け物になろうと帰ってやる。そして、そこからさらにつながるエンディング曲『灼け落ちない翼』。勇気を手にしたら終わる夢を見る。

 

全ては繋がり、全てはひとつ。シャーロット彗星の輝きに負けないくらい、僕たちの描く未来は明るく幸あるものとなるだろう。

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