声優陣ががらっと変わって、いわゆる「新ドラえもん」になってから何年経つのか分かりませんが、少なくとも僕がドラえもんの映像作品を最後に見たのは「旧ドラえもん」の頃です。
世の中には「こんなのドラえもんじゃない」という方もおられると思うのですが、僕は十分に楽しめましたね。
むしろ世代を変えて、時代とともに愛される作品として成長し続けている貴重な作品だと思います。
今回視聴したのは、『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』。
あらすじ
真夏の暑さに耐えかねたのび太たちが向かったのは、巨大な氷山。
秘密道具の「氷細工ごて」で、遊園地を作っていたのび太たちは、氷漬けになっている不思議な腕輪を見つける。調べてみたところ、なんと腕輪が氷に埋まったのは、人が住んでいるはずもない10万年前の南極だった!
腕輪の落とし主を探して南極へと向かうドラえもんたち。
その前に、なんと氷の下に閉ざされた巨大な都市遺跡が姿を現す。
「10万年前に行って、落し物を届けよう!」
ひみつ道具の「タイムベルト」で10万年前に向かうドラえもんたち。
そこで、凍りついてしまった自分達の星を救うため、宇宙を旅して腕輪の謎を追う少女カーラとヒャッコイ博士に出会う。そして、腕輪を巡り、ドラえもんたちは地球が凍結する危機に直面する!(出典:『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』公式サイト)
南極の氷山でかき氷を作ろう
ドラえもん映画は、最初のきっかけこそほんの些細であるが、これが世界規模・宇宙規模の壮大な話になるというのがお約束である。
今作も例に漏れず、連日35℃以上の猛暑が続く夏休みに「かき氷を気が済むまで食べよう!」とのび太とドラえもんが南極に出かけていく。
ひとしきりかき氷を楽しんだふたりだったが、のび太は「ここに氷の遊園地を作ってみんなで遊んだら楽しいのではないか」と提案する。
遊びの天才
ドラえもんは最初こそ渋っていたものの、「なかなかええじゃないか」と乗り気になり、秘密道具の力を借りて氷を加工し、あっという間に遊園地を作り上げる。
この辺でもうワクワクが止まらない。
しずかちゃん、スネ夫、ジャイアンを呼び寄せて貸し切りの遊園地で遊びまくる。
さぁ、次はジェットコースターだと運行を始めると、氷でできた線路が崩壊してしまう。何という欠陥。
それだけで生命にかかわる大事故なのだが、大丈夫大丈夫。ドラえもんがなんとかしてくれるから。
辻褄が合わなくても「他にこういう方法があっただろ」と思っても口に出さないのがドラえもんを楽しむコツだ。
遊園地で遊ぶみんなから一人はぐれたのび太が古代文明の時代に作られた金色のリングを見つけたことから宇宙規模の物語が展開されていく。
作中で印象に残ったシーン
カーラ可愛すぎ問題
新ドラえもんになってから格段に洗練されたキャラクターのグラフィック。
カーラは物語の重要人物であり、氷に閉ざされた彼女の星を救うために宇宙を飛び回っては古代文明の探索をしている。
しずかちゃんも抜群に可愛いのだが、カーラの可愛さが際立っているのが印象に残った。
ドラえもんとのび太の絆
ドラえもん→のび太
ドラえもんとのび太は、普段から他愛のないことを話したり喧嘩しあったりと家族同然の存在である。
ドラえもんが押し入れで調べ物をしているシーン。
壁一面にのび太との思い出の写真が貼り付けられているのを見て、胸に来るものがあった。
写真の女の子は子供の頃ののび太のママかな?
こういうところをさりげなく忍び込ませているのが流石である。
のび太→ドラえもん
物語後半で、偽のドラえもんが現れてのび太達を罠におびき出すシーン。
本物のドラえもんは手足と四次元ポケット、鈴を凍らされて身動きが取れない状態だったが、のび太達を救うためにボロボロになりながら偽ドラえもんと対峙。
↑いい加減にしろよ、青ダヌキ
偽ドラえもんはドラえもんを陥れるために虚言を吐き、「道具を出せない方が偽物だ」「君たちの名前を言えない方が偽物だ」とのび太達を揺さぶりかける。
四次元ポケットは凍っていて道具は出せない。
魔術のようなもので口封じされたドラえもんは大切な仲間の名前を叫ぶことができない。
やめたげてよぅ!
スネ夫とジャイアンは「道具も出せないし、俺たちの名前も言えないのは偽物だ。ボロボロでなんだかばっちぃし」とドラえもんを責める。
ここでのび太。
「ねぇ、なんだか可哀想だよ!まだ偽物って決まったわけじゃないし。」
ジャイアンとスネ夫は苛立ち、ドラえもんと1番付き合いの長いのび太がどちらが本物のドラえもんか決めろと迫る。
ふたりのドラえもんを見たのび太。
「どっちも本物じゃダメ?」
「鈴とポケットが違っても、僕には本物に見えるんだ!」
いいよね。こっちが本物!と断言するよりよっぽどのび太らしいというか、ドラえもんの本質を理解しているのび太だからこそ出て来た言葉というか。
痺れを切らした偽物がドラえもんを氷漬けにしようとするが、のび太も巻き込まれそうになる。のび太を必死に庇うドラえもん。
強い絆で結ばれたこっちが本物のドラえもんだ!
物語の鍵を握るタイムパラドックス
ストーリーが過去と現代で頻繁に切り替わり、過去での行動が現代に作用するというギミックが用いられており、SFチックで少し考えさせられる展開である。
子供が初見でわかるのかなとも思うが、大人でも十分に楽しめる新しいドラえもんである。
総括
突っ込みどころは随所にあるけれど、それをいちいち指摘するのは野暮というものだろう。
子供の頃に感じたワクワクキラキラをドラえもんの秘密道具という超常的な力を借りて追体験できる貴重な作品だ。
最初に書いたグラフィックの進化もそうだが、構成や魅せ方も現代チックにカスタマイズされており、新時代の幕開けを感じた作品である。
あと、どうしても書いておきたいのがEDソングの秀逸さ。これは反則。