現在、森博嗣さんの『イナイ×イナイ』を読んでいます。
森博嗣さんのミステリィ作品(「ミステリー」でないのがポイント)は昔から好きで、今まで30冊程読んできました。
この方は非常に筆が早く、やっと最新作を読破したと思ったら、もう次の作品が発売しているということもままあります。
「これは追いかけるの無理だな」と思ってから少し距離を置いていましたが、やはり彼の作品には他のものにはない魅力を感じたので、またシリーズを追いかけてみようと思った次第です。
森博嗣とは
後で紹介するが、森博嗣さんの代表ミステリィとして『すべてがFになる』をご存知の方も多いことだろうと思う。
漫画、アニメ、ドラマ、ゲームにもなっている作品だ。
冒頭で「筆が早い」ということを彼の特徴として挙げたが、この作業スピードが「某国立大学工学部の助教授」という本業の傍ら実現されていたというのがさらなる驚きである。
ここでは『森博嗣』の人物像を簡単に紹介するとともに、僕と森博嗣作品との出会いに触れてみようと思う。
経歴
名古屋大学工学部建築学科に進学。
同大学大学院修士課程修了後、三重大学工学部助手として採用される。その後、名古屋大学で助教授として採用されることになる。
1990年「フレッシュコンクリートの流動解析法に関する研究」で名古屋大学から工学博士を取得。
1995年にわずか1週間という短期間で処女作『冷たい密室と博士たち』を書き上げ、『メフィスト』に投稿。
その後に投稿し、彼の代表作になる『すべてがFになる』が第1回メフィスト賞を受賞することになる。
大学勤務の傍ら尋常ではない執筆スピードで作品を世に送り出し続ける。
2005年に大学を退職する。それまでは作者プロフィールを『某国立大学工学部助教授』などとしていたが、以後『作家』と名乗るようになる。
趣味
彼の趣味は多彩で、鉄道模型や飛行機の模型、音響装置や自動車に関するものが多く、彼の描く作品の中にもこれらを想起させるような記述が多く見られる。
作品の特色
本業である工学部の助教授という肩書きから想像がつくように、非常に論理的でスマートな文章展開が特色である。
また、突如難解な専門用語や難解な数式が現れては消えていくという作風から「理系ミステリィ」などと呼ばれている。
加えて、突発的に浮き上がってくる意味のないシュールな会話、通称「意味なしジョーク」も作品を彩る大事な要素の一つである。
文学で、全ての要素に意味があって、つながっていくというような(そうでもないか)既存の推理小説とは一線を画した非常に特異な作風が目を引いた。
森博嗣作品との出会い
あれは僕が高校生の頃。僕はゲームばかりして遊んでいて、小説なんてほとんど読んだことがないような少年だった。
ある日、同じクラスで仲の良かったО君とH君が「マガタシキ」「サイカワ」「ニシノソノ」という謎の言語を用いて活発に議論をしていた。どうやら彼らが今熱中している推理小説に出てくる人物の名前らしい。
必然の流れとして、「マガタシキ」だとか「サイカワ」だとかが出てくる推理小説を勧められるわけだが、正直小説の類を読んだことは数えるほどしかなかったし、今から読み始めても彼らに追いつける気もしなかったので、最初はやんわり断っていた。
しかしながら、やはり気になるものだ。О君やH君が勧めるものは大体面白い。漫画だってゲームだって、テレビ番組だって。
価値観が合う、それだけで友達になれた。非常に尊いことだと思う。大人になってからは価値観が合わなくても仲良くしなければならない。
厳密に言えば、仲良くしなくてもいいけれど表面的には波風を立てないように嘘の自分を作り上げなければならない。それが大人というものだから。それが社会に適合するということだから。
そして、打算的になる。「仕事上長く付き合う人だから・・・」「お世話になった人と仲がいい人だから・・・」等々。大人になってから掛け値なしの友人が自然発生することは極めて稀だろう。それこそ尊い。
いつも僕に❝楽しいこと❞を提案してくれるО君とH君の勧める森博嗣さんの作品を手に取った。
いきなり謎の詩が現れたぞ。やたらカタカナの専門用語が飛び交っているな。結構会話文は多めかな。
読んでみるか。その本が森博嗣さんの最初の作品『すべてがFになる』だった。
『すべてがFになる』の感想については、別途レビュー記事を書きたいと思う。思い出の作品だから。今は手元にないので、いつか買いなおして再読を果たした後だ。
少なくとも今僕が彼の最新作を読んでいて、彼の作品を30近く読破してきた実績を考えれば『すべてがFになる』が僕に与えた影響は極めて大きいものだったといえる。
まとめ
森博嗣さんの作品の魅力については、今後増えていくであろうレビュー記事にて随時触れていきたいと思う。
ちなみに30近く読んだという作品を並べておこう。
【S&Мシリーズ】
- すべてがFになる The Perfect Insider
- 冷たい密室と博士たち Doctors in Isolated Room
- 笑わない数学者 Mathematical Goodbye
- 詩的私的ジャック Jack the Poetical Private
- 封印再度 Who Inside
- 幻惑の死と使途 Illusion Acts Like Magic
- 夏のレプリカ Replaceable Summer
- 今はもうない Switch Back
- 数奇にして模型 Numerical Models
- 有限と微小のパン The Perfect Outsider
- 黒猫の三角 Delta in the Darkness
- 人形式モナリザ Shape of Things Human
- 月は幽咽のデバイス The Sound Walks When the Moon Talks
- 夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show
- 魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge
- 恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits
- 六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists
- 捩れ屋敷の利鈍 The Riddle in Torsional Nest
- 朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away
- 赤緑黒白 Red Green Black and White
- 四季 春 The Four Seasons Green Spring
- 四季 夏 The Four Seasons Red Summer
- 四季 秋 The Four Seasons White Autumn
- 四季 冬 The Four Seasons Black Winter
【Gシリーズ】
- φ(ファイ)は壊れたね Path connected φ broke
- θ(シータ)は遊んでくれたよ Another playmate θ
- τ(タウ)になるまで待って Please stay until τ
- まどろみ消去 Missing under the Mistletoe
- 地球儀のスライス A Slice of Terrestrial Globe
- 今夜はパラシュート博物館へ The Last Dive to Parachute Museum
- 虚空の逆マトリクス Inverse of Void Matrix
【Xシリーズ】
- イナイ×イナイ Peekaboo←現在進行中