先日、年末に飲む用に近所の酒屋さんで福島県の『奥の松全米吟醸』という日本酒を買ったのですが、そのとき酒粕をいただいたんですよ。
なんとなく『雪の茅舎』を買おうかと考えていたところで新たな視点を提供されたので、つい買ってしまいました。そして得をするという。
酒粕料理といえば、甘酒、粕漬け、粕汁、白和え等が頭に浮かびますが、冷蔵庫の中に鮭があったことから粕汁と粕漬けを作ってみようと思った次第です。
酒粕を存分に楽しむ
これが今回の主役の『奥の松清酒粕』。
今回購入した奥の松は「全米吟醸」というカテゴリーに属するらしい。「純米吟醸」ならよく聞くが、全米吟醸とはなんぞやと調べてみると、
製造の過程でアルコールが添加されていない日本酒のことを❝純米❞といい、逆に添加されているものは単に「吟醸」だとか「大吟醸」と呼ばれる。
奥の松は、本来「吟醸」に用いられる醸造アルコールの代わりに自社の米焼酎(米100%の醸造アルコール)を添付しており、❝純米❞の定義から外れてしまっていることから❝全米吟醸❞を名乗っているそうだ。
調べてみると、単品で300円くらいするようだ。酒屋のおばちゃん、ありがとう。
とりあえず裏面に書かれたレシピ通りに作ってみるか。
これ、粕汁はいいんだけど、粕漬けの方は塩味が一切ないレシピで心配だ。
粕汁&塩サバ焼き
酒粕レシピver.1.10
調理方法は↑に書いてあるが、とても簡単。
①水4カップを入れた鍋に昆布を浸し、30分ほど放置。
②大根、人参、油揚げ、こんにゃく、鮭、葱を食べやすい大きさに切る。
③昆布を入れたまま火にかけ、②で用意した根菜類及び油揚げを煮込む。
④具材が煮えるまで酒粕100gを水でふやかしておく。この際、十分浸水させてすり鉢等でダマができないようにしっかりすり潰すのが重要である。ダマが残ると汁に溶けづらく、食感が悪くなってしまうからだ。
⑤④ですり潰した酒粕に味噌大さじ4杯を加えてさらに滑らかにすり上げる。と、レシピではそうなっているが後で別に味噌を投入したところでさほど問題にはならないだろう。また、味噌大さじ4杯入れれば、塩は不要と思われるが、そこは好みだ。
⑥根菜が煮えてくる頃にこんにゃくと鮭を投入。汁ものの魚に骨があるのは個人的に苦手なので、丁寧に骨を処理しておく。
⑦具材に火が通ったら、先ほどすり潰した酒粕と味噌を解く。
⑧ひと煮立ちさせてから葱を入れて出来上がり。
油揚げの湯通しはサボってもいいし、根菜類やこんにゃくを下茹でする必要もない。ずぼらに作っても十分美味しくなるから安心してほしい。昆布で出汁を取らなくても顆粒出汁で十分だ。
でも、ひと手間かけたときに目に見えてわかる味の違いもまた料理の楽しさ。
本当は菜の花の辛子和えで一品添えようと思ったけれど、面倒くさかったのでカット。それもよかろう。
いざ実食
粕汁が具だくさんなので、他におかずは塩サバのみ。
塩サバにはハズレがない。脂っこいのにくどすぎない。もし「毎日1食は焼き魚定食を食べろ」と言われたらサバかブリだなぁ。
見るからに濃厚。とろっとしていて体の芯から温まりそうだ。
ひと口。心底安心する味だ。日本人に生まれてよかった。こんなに美味しいものをいつでも食べられるのだから。
全ての食材がほっくりと仕上がっており、酒粕の独特の風味と葱の野生味が食欲をそそる。汁にとろみがついているため、いつまでも熱々を楽しめる。
煮込む具材はどのようなものでも大体合うだろう。きのこ類は言わずもがな、里芋を入れてもきっと美味しいだろうし、鮭の代わりに鱈を入れてもいいかもしれない。懐が深いのだ。
今まで酒粕は対処に困っていたけれど、これは冬の定番入り待ったなし。
塩サバ。
食べ慣れた味で、食べる前から具体的な味のイメージは頭の中に浮かんでいるし、口に入れれば想像通りの味なんだけど、それでも旨い。旨すぎる。
山盛りのご飯にサバ。塩!魚!脂!飯!
グルメ界隈では和食の四大元素と呼ばれているとかいないとか。
ほっくり芯まで煮えた具材。食べている最中にも指の先から温まっていく感覚。
実に犯罪的である。
今回は普通に合わせ味噌で作ったが、白味噌ベース、もしくは白味噌ブレンドのものならばもっと上品に仕上がるのかな。こっちも好きだけどね。
ごちそうさまでした。粕汁はまだ残っているし、塩サバもある。明日も同じメニューでも美味しく食べる自信あり。
忘れてはならない鮭の粕漬け
鮭の西京漬けはよく作るが、鮭の粕漬けを作るのは実は初めてである。適度に水分が抜けて旨味が凝縮された鮭の旨いことよ。これが成功すれば、レパートリーが増えるなぁ。
漬けだれ(?)は酒粕と奥の松しか使っていないので、長期保存が可能だ。
今からだとちょうど年末に食べ頃になるだろうか。レシピに従って一切塩等を入れていないが、入れるなら今だろうか。うーん、迷うところだ。
そんなわけで、酒粕料理、冬におすすめ。