前作『アイアンマン』から約4ヶ月。『アイアンマン2』を視聴したので、感想を書いていこうと思います。
主人公のトニー・スタークがとにかくカッコいい。渋くてユーモア満載のおじさんの魅力たっぷりでお届け。
↑マーベル映画によく見られる「Blu-ray+DVDのセット」って誰得なんでしょうね。Blu-rayがあればDVDは要らないし、DVDがあればBlu-rayは要らないし。
まさか巧妙にコレクター欲を・・・刺激されている・・・?
あらすじ
トニー・スタークが自らをアイアンマンであると公表してから半年。彼のヒーローとしての活動は国家問題となり、兵器とみなされたパワードスーツの没収を命じられるが、彼はこれを断固拒否。
トニーの体はパワードスーツの動力源であり、彼の生命維持装置アーク・リアクターの動力源でもあるパラジウムに蝕まれており、このままではそう長く命は持たない。
彼は命あるうちに自身の至上命題である❝世界平和❞に貢献するため、スターク・インダストリーの社長の座を秘書のペッパーに譲り、彼が培ってきた技術を世にお披露目する「スターク・エキスポ」を開催することに。
そんなスタークを影で恨む人物がいた。トニーの父親であるハワード・スタークと共同して研究を行っていたロシアの元物理学者アントン・ヴァンコの息子イワンである。
イワンはある一件からスターク一族を逆恨みしており、独学でアーク・リアクターを動力源にした「エレクトリカル・デス・ウイップ」を開発。
これを使ってトニーを襲撃すると同時に、アイアンマンと同様の科学技術が存在することを世に知らしめた。
パラジウムに侵食されていく身体。アイアンマンの存在を脅かすイワンの影。そのプレッシャーに負けて自らの誕生会にパワードスーツを持ち出して余興に用い、挙句には泥酔して醜態を晒すことに・・・。
前作『アイアンマン』を一言で表すならば、「トニー自身がしてきたことに対する落とし前を自らつける」ということになろう。
そして、今作『アイアンマン2』では、「父親であるハワード・スタークのしてきたことの落とし前を息子のトニーがつける」ということが物語の主軸になっている。
本来ならば、アントン・ヴァンコ対ハワード・スタークという構図になるところ、世代を超えた代理戦争といえば分かりやすい。
感想
賛否両論ある作品というのも頷ける
前作はパワードスーツ開発に至る過程をじっくり描いており、それが涙ぐましいまでのトライ&エラーの連続で心の底からワクワクした。
一方で今作は、冒頭でトニーのパワードスーツを国が没収しようとするシーンから始まり、彼の体がパラジウムに侵食されるシーン、死の恐怖に怯えて自暴自棄になっていくトニーの心境、父親との葛藤などに時間を割いており、「早く爽快なアクションを見せてくれー」と感じる人も多いことだろう。
僕は完璧超人であるトニーが弱みを見せて人間臭さを出しているところもストーリー上必要な要素であると思うが、それでも確かに時間を割きすぎているように感じた。
トニーは既にアイアンマンになっており、全米に知れ渡るほどの人気者であることから、前作ほどのドラマティックな展開を期待することはできない。比べてしまえば軽薄なストーリーに見えてしまう。
話の持って行き方についても疑問に思う箇所がいくつかある。
トニーと今回のヴィランであるイワンはモナコのF-1レース場で初対面するのだが、「命の危険があるF-1レースに何故素人のトニーが出場しているのか」というところから始まり、そこを待ってましたと言わんばかりにイワンに襲撃されることになる。
「パワードスーツがあればこんな奴・・・」と秘書のペッパーにスーツの入ったトランクを持ってこさせるのだが、その方法が普通車でF1のコースを逆走し(F1カーは絶賛レース中)、その過程で事故ひとつないという謎のカーチェイスアクションで彩られているという点だ。
無意味なばかりか、無茶で現実味のないアクションは白々しいだけだ。「こういうの好きでしょ?」という制作側の浅はかな意図が伝わってくるようである。
丁寧なストーリーとは・・・
ダメ出しばかりで申し訳ないが、ストーリーの着地点についても不満がある。
宿敵であるイワンとの戦闘シーンは最も盛り上がるシーンであるべきだろうが、あまりにあっさりしており、知恵ではなくてただのごり押しで無理やりに終わらせている。
それにイワンを殺すこともなかったのではないだろうか。
確かに復讐の鬼と化していて、トニーの命を全力で狙っている超危険人物だが、雑に「悪い子はメッ!メッなの!」という処理に見えてしまう。
何よりトニーが自身の命がそう長くないことを悟って自暴自棄になり、恋人や友人を巻き込んで周囲をかき回した後に、結局パパの遺した技術で遺したハッピーエンド、全然問題ありませんでした~という軽薄っぷりである。
前作で重厚で丁寧なストーリー展開を知っていると、雑で投げっぱなしな作品に見えてしまうのが残念である。
最後にフォロー
散々文句をつけたが、決してつまらない映画というわけではない。前作が偉大過ぎただけだ。
相変わらず主人公のトニー・スタークを演じるロバートダウニーjrは渋くてカッコいいおじさんだし、ヴィラン役のイワンを演ずるミッキー・クロークの闇深い悪役感は痺れるものがある。
物語中にも随所に見ごたえのあるシーンはあるので、緩急がなくて退屈ということにはならないと思う。
観ていて「何だこれ」「今何しているんだっけ」と思うことは多々ある。
総括
賛否両論という評価の真意がよく分かった。否の方が多いのも納得である。
好意的に解釈するのであれば、アイアンマンは3まで観てひとつの作品であるのだから、一見中だるみに見える『アイアンマン2』も何かしらの意味を持っていると考えられる。
これは3を観るしかないな・・・!