罪人の魂が彷徨う煉獄の街であるルフラン市は、歪ながらも絶妙なバランスで成り立っていた。誰かの魂は違う誰かの魂に支えられ、ギリギリの正気を保っているという危険な状態。
ドロニア様とルカが街を訪れ、住民たちに干渉したことによりそのバランスは失われ、崩壊していく。
パン屋の娘メイリィが穢レ人に連れ去られて存在を消したことでユリエッテがおかしくなり、細工屋の見習いフリッツが消えたことで親分のニムトが覚醒。
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ドロニア様、それを助けようとしたネルドは殺され、ルカにも手がかかろうとした瞬間、時間が撒き戻る。
夢、だったのさ!
もうひとつの違う未来へ
時間が撒き戻る。しかし、時間が撒き戻ったという事実を知っているのはルカのみ。
先ほどはドロニア様が兵士の胸にナイフを突き立てるという彼女らしからぬパワーファイトを繰り広げたが、この行動を変えさせるのは状況を把握しているルカということになる。
今更なんだけど、まさかルカ、タイムリープできる説・・・?
「(その兵士を)刺しちゃダメです!!ドロニア様!こっちへ!!」とルカ。
まずあの場面でドロニア様が逃げ遅れたというのが敗因だったのか。ルカはドロニア様を連れて修道院へ。ネルドは別動隊として陽動役になる。
ルカが先導しているからドロニア様は転ばずに済んだ。それにドロニア様は極度の方向音痴だから、自身の足で修道院に行けるかも怪しい。
そして、途中でフリッツと出会い、間一髪で穢レ人に連れていくことを回避。ここも潰しておかないとニムト親方が覚醒してデッドエンド一直線だな。
ルカ、有能すぎん?
フリッツ生存ルートを取ったので、ニムト親方は正気の状態である。
途中兵士たちに囲まれるが、ひるむことなく彼らを掴んでは投げ。掴んでは投げ。
親方はまともだと頼もしい限りだ。「ふひっ♪」とか言う親方はいなかったんだね、よかった・・・。
ひとまず修道院に逃げ込んだドロニア様とルカ。流石に疲労の色が隠せないドロニア様に対し、「酷い顔」とルカ。なかなか言うようになったじゃないか。
魂の魔女
我々の行動は読まれていたのか、急にフルネラが現れた。
そうだった、ドロニア様は❝ドロニア型❞と呼ばれる人形で、ルカはその監視をしていたのだ。
契約解除・・・。人形兵に魂を吹き込むときにも契約らしきことをしているし、主従契約を結んでいるのかもしれない。
ああ、その辺はフルネラも知っているのか。実際先ほどはドロニア様もぎもぎフルーツ大作戦成功してたしね。
あんな惨劇、二度と見たくないぞ。
ユリエッテはリミッターが外れていたけれど、ユリエッテがいなくなることでおかしくなる人も出てくるのか。八方塞がりだな。崩れ出したルフラン市は止められない、と。
あの温厚なルカが激昂している。大好きなドロニア様が惨殺されていく様子を見せられて、それを期待しているようなフルネラはさぞ許せなかったことだろう。
ドロニア様ももちろんだけれど、ルカにとってはフリッツもニムト親方もルフラン市に来てからお世話になった人たちだからね。
たとえ生前が罪人だとしても、彼らはいいキャラしていたもんなぁ。
❝魂の魔女❞?
魂の魔女は、人形の魂を自由に管理することができるのか。ということは、フルネラの魂もルカの手のひらということになる。
次々とルカの小隊に近づいていているが、とんでもない能力者だというのはわかる。
フルネラ、めっちゃビビってるやん。フルネラ自身、強大な力を持つ魔女だけれど、ルカにはどうあがいても敵わないようだ。
ドロニア様を廃棄するのは止め止め。
フルネラの口からバーバの目的が語り出されていく。
ルーラー魔法学校の卒業生の多くは魔女として各地に派遣されていく。
ドロニア様のように王宮魔女になる者もいれば、イサラのように貴族との政略結婚のコマとして売られたり。魔女としての目が出ないものは奴隷として流されていくのだろう。
フルネラの仕事はドロニア様の監視をしているルカの監視。
ティッシュ配りののバイトをサボってないか監視する人を“カラス”、そしてその“カラス”を更に監視するのが“フクロウ”、その“フクロウ”を更に更に監視するのが“鷹”だとかなんとか聞いたことあるけど、そんな感じなのかな。
有事の時に行動を起こすならばそれ相応の実力がないと務まらないだろうけど、監視と連絡だけだったら誰でもいいはずだ。
プライドの高いフルネラにはさぞ辛かったことだろう。
術式を解除されてしまうのならば勝ち目はない。
「魔女は見た目が若いほど魔力が強い」というのは割と本当なのかもしれない。
マリエッタよくやっt・・・いや、いきなりどうしたんだ。
ルーラー魔法学校で散々バカにしていたマリーことマリエッタに殺されるとは。
やはり“型”というだけあって量産可能なのか。魂の複製が可能ということ・・・?
ここでドロニア様が察する。しかし、あまり取り乱している様子ではない。
イサラが遺したもの
貴様らがイサラを・・・
ここでヴェルニアの回想。
時系列的にはドロニア様が王宮魔女となった後にイサラからの手紙を読み、ルカを身篭ったことを知った後のこと。
目元は父親、髪質はイサラ譲りかな。
この髪型はなんともプリンセス風だ。僕は個人的にボサッとした今のルカの髪の方が好きかな。
ちなみにネルドくんはどう思う?
「僕はルカさんなら無条件に最高だと思っている」
お、おう・・・。
イサラが、亡くなった・・・だと・・・。
元々病弱で出産をしたこと自体が奇跡だったのだろう。視力を失うまで魔力を使って、その負担も蓄積していたと予想される。
まぁ、極論をいうとそうなるかもしれないけど・・・。
メディニラの願い
イサラの死を知ってからしばらく経ち、ルカからドロニア様に手紙が届く。
メディニラが危篤らしい。彼も持病持ちで、このままではルカが幼くして孤児になってしまう。
元気じゃないか、この野郎。
メディニラの命が長くないことは本当らしい。
彼がなんとしてもドロニア様と会いたかったのは、お願いがあるからだそうだ。
「自分が死んだらルカをお願いします。」
ヴェルニアはそんな義理はないと即答する。イサラを奪った当人の頼みだもんなぁ。
そこにメディニラは更なるお願いを申し出る。この人、意外と押しが強いな。
その二個目というのが、「魔女の力を使って少しだけでも延命したい。ルカを見守りたい。」というもの。
さすがに人の命を伸ばすなんて所業、できな・・・
できるんかい。
できないことはないけれど、現在の記憶は失われてしまうという。
それでも構わないからルカのそばに置いてくださいとメディニラ。
自分が死ぬのが怖いと泣いているけれど、父親としての務めを果たせずに死んでいくのが辛いんだろうな。
泣き落としなんて効かんぞとヴェルニアは言うが、最後は希望を聞いてあげたのだろう。素直じゃないんだから。
だって、バルティーニ三世に転生して、ルカを見守ることができたんだもの。
罪を背負って生きていくということ
また場面は切り替わり。
ヴェルニアはイサラの思い出の地に特別にルカを連れていった。なんだかんだでルカのこと気に入っているじゃないかと微笑ましく思っていたら、ルカが「崖の向こうに飛び移りたい」と言う。
危ないからやめておけと制止するヴェルニアを振り切ってルカはジャンプ。反対岸に無事着地したと思いきや、バランスを崩して転落しそうになる。
とっさにヴェルニアはルカに追いつき突き飛ばす。ルカは助かるもヴェルニアは崖の下に落下。
うーん、結論だけ言えば間違いではないのだろうけど、あまりにも容赦なさすぎるバーバの言葉。
追い詰める追い詰める。
ルカの身の回りの人間は次々と死んでいった。これから一生一人ぼっちで生きていくことが、自分の罪への償いになるというバーバ。
落として上げる。それ、詐欺の常套手段やぞ、バーバ。
不運にも死んでしまったヴェルニアを生き返らせる手段が一つだけあるそうだ。
イサラ譲りの魔力でも、そんな禁忌を覆せるのか?
魂を入れ、新しい名前をつける。つまり人形として転生させるということ。
なるほどね、ヴェルニアは生前の人間の名前で、ドロニアは人形としての名前か。
まとめ
ドロニア様が人形だったという前回の衝撃に引き続き、ドロニア様を作り出したのは❝魂の魔女❞であるルカという事実が判明する。
ルカがドロニア様と旅を共にしていたのは自らの贖罪のためだったのか?そして、バーバの言う「(ヴェルニアを)お前が殺したんだ」というのは本当なのだろうか。
今まで明かされなかった真実が次々と形を成していく。
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