先日スーパーに行きまして、生のズワイガニを丸ごと一匹買ってきたんですよ。
北海道産、19時頃で割引されて350円くらい。
いつもならばどんなに安くても「ほぉ、蟹ですか・・・」とフリーザ様的な感じに流すのですが、この日は少し様子が違って、よく見るとその蟹が泡を吹いていたのです。
確かに「生」とは書いてあったけど生きとんのかい、と。しかも19時ですからね。
何となくその蟹を放っておけなかった僕は、当初夕食に予定していた回鍋肉を諦め、カニ飯を作ろうと決意したのです。
もう一つ、天然の鯛(島根産)のあらが250円と安かったので、これも購入。
魚のあらは調理が面倒だったり、骨だらけで食べるのも手間がかかるため敬遠する方も多いと思うのですが、こんなに安くて美味しいものが売れ残っているのは勿体ないと思いますよ。
そんなわけで、鯛の兜煮を作ります。
ズワイガニと鯛。図らずも豪華な夕食になってしまいました。以下では調理と食事の様子をお届けしていこうと思います。
カニ飯を作る
材料(2合分)
- ズワイガニ・・・・・1匹
- 生姜・・・・・・・・ひと欠
- 昆布・・・・・・・・5cm×10cmくらい1枚
- 薄口醤油・・・・・・大さじ1杯
- 酒・・・・・・・・・大さじ1杯
- 塩・・・・・・・・・小さじ1杯
まず、主役を紹介しておきたいと思います。
生きているのでもちろん鮮度は抜群。持ってみてもずっしりとしていて、食べ応えがありそうです。
調理開始
①米を研ぎ、昆布を投入して20分ほど浸水させる
後ほど酒や醤油を入れるので、そこで2合分の水になるように調整します。
②カニをたわし等を使ってよく洗う
この子は雌だったようで、卵を抱えています。
一回茹でてから身を取り出すということであればそこまで丁寧に洗う必要もないですが、今回は丸ごと炊き込むため、たわし等を使ってカニをしっかり洗います。
採れたてのものをパック詰めしているので、パッと見は綺麗でもかなり汚れています。流水に晒しただけで水が濁っていくので、想像の2倍は頑張って洗うといったイメージでしょうか。
火を通すので雑菌は死滅しますが、さすがに汚れたご飯は食べたくないですからね。
綺麗になったカニ。流石に買ってきた時点で満身創痍だったようで、流水に晒してたわしでゴシゴシしている間にお亡くなりになられてしまったようです。
③カニを分解する
生きているカニをバラバラにするのは躊躇するので、お亡くなりになられていたのが不幸中の幸いでした。
脚とツメは節に包丁を入れて落とし、甲羅は豪快に開けます。
ちなみに右上がカニの中身になっており、既に❝ガニ❞と呼ばれる部位は取り外してあります(ちょっとグロいので)。
部位的には「肺」に当たる❝ガニ❞ですが、食べて食べられないことはないものの、決して美味しいものではなく、食感もジャクジャクというかザリザリしていて気持ちのいいものではありません。
何より水中の汚れをろ過して吸い込む部位なので、汚れが凝縮されており、衛生的にも食べるのはアウトなので、特に丸ごと炊き込む場合には必ず取り除いておいてください。
カニは食べても❝ガニ❞食うな、という言葉があるくらいですからね。
直接手で取ってもいいですが、気持ち悪いという方は包丁で簡単に取れますので、お忘れなく。
④調味料とカニを加えて炊飯する
胴体部分は出汁が出やすいように半分に割ります。本来であれば脚にも切れ目を入れるところですが、今回は割愛。
炊飯器の蓋を開けてみると、むせ返るほどに濃厚なカニの香りが立ち込めます。
身を取り出します。
⑤カニの身をほぐしてご飯に混ぜ込む
ここからが非常に面倒な作業です。どんなに蟹が安くても普段スルーする理由の99%がここにあります。
身を取り出し、内子、外子、カニ味噌も丁寧に摘出します。
カニをばらすのが下手すぎてかなり取りこぼしがありますが、それでもそこそこのボリュームがありますね。
混ぜ込みます・・・!
お焦げもあって、見るからに美味しそうです。
それでは炊飯の間に同時並行していた鯛の兜煮の調理を見ていきましょう。
鯛の兜煮を作る
材料(2人分)
- 鯛のあら・・・・・・・1匹分
- 生姜・・・・・・・・・ひと欠
- 濃口醤油・・・・・・・大さじ2杯
- みりん・・・・・・・・大さじ2杯
- 酒・・・・・・・・・・200ml
- 砂糖・・・・・・・・・大さじ1杯
調理開始
①鯛の頭に熱湯をかけ、鱗や血合いを取り除く
魚を煮付ける際には最重要の行程です。
特に鯛の様な鱗が堅く大きい魚だと、これを処理せずに調理するのとしないのとでは出来上がりに天と地ほどの差が出ます。
いくら美味しくても鱗でじゃりじゃりしていたら台無しですからね。
また、血合いも火を通すことで取り除きやすくなり、生臭さも消えるので、熱湯に晒すのは必須だと思います。
キッチンペーパーを被せるのは、鯛に直接熱湯がかかって皮がめくれてしまわないようにするためです。
味には全く影響しないですが、一応鯛の煮付けだとわかるくらいにはしたいですからね。
そして冷水へ。一度熱湯に晒すことで指でも簡単に鱗と血合いを取り除くことができます。
②まずは水と酒と生姜のみで茹でる
身が重ならないように並べて・・・。
水と酒、生姜スライスを入れて火にかけます。
しばらく茹でると灰汁が出てきますので、丁寧にこれを取り除きます。
10分ほど火にかけていると鯛の目が濁ってくるので、次の行程に進みます。
③調味料を加えて煮付ける
最初に酒と生姜で茹でることによって身が柔らかくなり、後から調味料を入れることで味が濃くなりすぎるのを防ぎます。
例によって落し蓋。煮汁にとろみがつくくらいまで弱火で煮たら出来上がりです。
実食
回鍋肉にしようと思っていたのが、まさかの方向転換です。ビールも買っておいたのですが、これは日本酒に合わせるしかないでしょう。
お供は『萩の鶴』の夏限定ラベルです。
昆布とカニのエキスの塊ですね。これは不味かろうはずがないのです。
兜煮もほっくり煮えて美味しそうです。
カニの身甘い、濃厚で香り高い味噌と卵。出汁が染み染みのご飯。薄めの味付けがカニの繊細さと上品さを引き立てています。
味が多重的すぎて言葉が追いつかないですが、これだけは断言できます。
旨すぎ警報、発令中。
一番美味しい頬肉からいただきます。発達した筋肉なので、むにっとした弾力がありますが、非常に柔らかく歯が自然に沈んでいきます。
今回は味付けをやや甘く、薄口にしましたが、こちらもまた上品です。
冒頭にも書きましたが、魚のカマやあらは安くて美味しいのに調理の煩雑から敬遠する方が多いのは非常に勿体ないと思います。
その分競合が少なくて個人的には助かっている部分が多いですが、是非見つけたら挑戦していただきたい部位ですね。
まとめ
たった500円でカニと鯛を味わうことができる、大満足の夕食になりました。
これからの季節、暑くてジメジメして火を使いたくない日々がしばらく続くと思いますが、進んで新鮮な食材を選んで料理をしていきたいなと思います。