うたかたラジオ

お代は“ラヴ”で結構です。

【これでいいのだ】漫画家・赤塚不二夫が愛した洋食屋ぺいざんの魅力をもっと広めたい(でも隠れ家であってほしい)というお話【これがいいのだ】

食べ歩きが趣味の一つである僕ですが、いつか行ってみたいお店や場所をスマホのメモ帳に書き留めています。

その中でも個人的な気になっているランキングでは上位に入っていた新宿区・中井にある洋食屋『ぺいざん』に行ってきましたので、その様子をお届けしたいと思います。

ちなみにこの『ぺいざん』は「天才バカボン」「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」などの世代を超えて知らない人の方が少ないくらいの名作を生み出した漫画家・赤塚不二夫さんが足繁く通ったお店だそうです。

僕自身は赤塚不二夫さんの作品に造詣が深くないですし、著名人が通ったお店に特段惹かれるというわけでもないのですが、妙に気になったお店なので今回訪問させていただきました。

しかも初訪問の2020年1月中旬、次が2月上旬、3回目は2月下旬。いかに美味しかったかが分かりますね。

新宿区中井とは

都心・埼玉方面へのアクセス良好

f:id:marurinmaru:20200224171246j:image

「中井ってどこなの?」というところから始めますと、場所は中野区と新宿区の境にあります。

メインの交通機関である都営大江戸線と西武新宿線の駅名はともに「中井駅」ですが、住所的には前者が上落合で、後者が中落合だそうですね。

上掲の写真は都営大江戸線中井駅ですが、この日は平日ということもあって人通りがまばらでした。次に紹介する西武新宿線からの乗り換え時には人が増えるものの、基本的には閑静な通りといった印象です。
f:id:marurinmaru:20200224171307j:image

こちらが西武新宿線中井駅。都営大江戸線の入り口とは直線距離で100メートル離れているかいないかくらいですね。

都営大江戸線方面への人の流れはあるのですが、反対側の踏切を超えた先の商店街の方面はほとんど人が歩いていません。

ここ、本当に新宿区なのか・・・?

しかし、僕の直観は当たっていたようですね。この雰囲気すごく好き。

 

落ち着いた街並み、商店街。寂れ感が心地いい。

コンビニや飲食チェーン店、書店にドラッグストアにスーパー等々生活に必要なお店は駅前にひと通り揃っていますし、銀行も近い。それに加えて昔からこの地に根差しているような老舗飲食店・居酒屋が多い(←ここ重要)。

川が流れ、緑が綺麗で道は広くて人通りも少ない(←ここ最重要)。

うん、いい街ですね。

 

赤塚不二夫先生が愛した洋食屋・ぺいざん

初訪問は豊富なメニューに迷った結果・・・変化球がお好き編

f:id:marurinmaru:20200224171310j:image

目的の『ぺいざん』は、より人通りの少ない商店街方面を歩いて3,4分ほどのところにあります。周囲には料亭?や居酒屋が並んでいて、ここも開拓したくなりますね。

お店の外観がまさに「昭和レトロ」といった感じでワクワクしますね。恰幅のいいコック帽のおじさんがマスターなのかな。

それではお邪魔します。手動のガラス戸をガラガラ・・・。

店内はL字型のカウンターになっており、一度にお店に入れるのは10名くらいでしょうか。昔からやってる洋食屋さんというのが分かる、選び抜かれて使い慣れた調理器具が並ぶ安心設計。

店長さんは優しそうな40代くらいの男性なので、先ほどのコック帽のちょっと強面のおじさんは先代かもしれないですね。恰幅の良さは似ていましたし。
f:id:marurinmaru:20200224171314j:image

早速メニューを見てみると、ああ、正しい定食ですね。

このメニュー表だけで30分は語れると思うんですけど、手短にまとめておくと、

①お店の名前を冠したメニューを一番上に持ってきているのが自信を感じさせる。

②サーロインステーキを1ページ目に持ってくる強者感。

③赤塚不二夫さんが愛したという定食を❝いちおし❞と名付ける奥ゆかしさ。

④後に紹介するようにメニューが豊富な中での日替わりが気になる。

⑤ビーフカレーを600円だからこそトッピング込みで1000円に収まる優しさ。

⑥終日ライス大盛り無料の心強さ。

⑦カレー大盛り+100円は単なるライス無料じゃないんだぞというメッセージ。

⑧サラッと添えられた「特製ロースカツ丼」の真の強者感。

⑨写真を食品サンプルでもなく、ありのままに映すおおらかさ。

⑩だからコック帽のおじさんは誰なんだ。

とりあえず10個出てきたので、この点につきご意見ご感想ありましたら、ぜひコメント欄で語らいましょう。
f:id:marurinmaru:20200224171304j:image

はい、めくりましてー。

最初のページだけでも十分なのに、更に押し寄せる魅力的なメニューの数々。店長さん一人で調理しているのに、このバリエーションは凄いですね。

なるほど、コンビの定食はなんとしてでも1000円に抑えたいという気概を感じます。この「おすすめメニュー」についても1時間くらい語れそうですけど、パッと見で④のセットが強いかなという印象ですね。

ハンバーグ、エビフライ、カニクリームコロッケの3傑が一堂に会しているわけですからね。次点で②のヒレカツも捨てがたいです。なんとなくハンバーグに一番の自信ありな気がします。

右に見える様々なメニュー。自分で組み合わせて定食を作ることができるのも嬉しいですし、サイドメニューとして単品でつけることもできるわけですか。
f:id:marurinmaru:20200224171249j:image

そうだねぇ、こんなに豊富で魅力的なメニューが並んでいたら赤塚不二夫さんも通っちゃいますよね。地元の方々に愛されて穏やかに旨いものを提供し続けてきたんだぞ、とひしひし感じる店構えと雰囲気。

悩みに悩みましたが、多分僕はこの店に通うことになるという直感があったので、あえて「いちおしセット」でもなく、ハンバーグを含む3傑の④セットでもなく、メニューの一番最後に載っていた期間限定メニューの「巨大エビフライ+牡蠣フライ定食」をチョイス。

僕の行動傾向として、再訪するか分からない気がするお店では1回でお店のあらましをなぞれるようなベーシックなメニューか全部盛りを選ぶことが多いです。

ラーメン屋ならばメニューの一番前にあるような醤油ラーメンだとか味噌ラーメンだとか。そして、トッピング全部盛り等があればそれを選びます。

一方で再訪を予感させる場合には、「将を射ん欲すれば先ず馬を射よ」との言葉の通り、王道から少し外した限定メニューや色物を注文することが多いですね。

たとえそのメニューが微妙だったとしても、「いやいや、メインメニューは美味しいはずだしもう一回来よう」と動機付けしやすくなりますからね。

f:id:marurinmaru:20200224171300j:image

そんな能書きを語っている間に来ましたよ。

色々強い要素があるな。

海老がとにかく大きいです。画面に入り切れていないですもん。

大きいって、切れ目入れて伸ばして細く細くしているだけでしょ?いやいや、侮るなかれ、むしろ衣は薄めで中には噛みしめる度にブツッブツッと肉に繊維を感じさせるような風味豊かな海老の身がぎっしり。

このレベルのエビフライが当たり前に出てくるのは、このお店の底が知れないですね。このエビフライをひたすら食べ続けたい、そう思える美味しさですし、揚げ物なのにくどくない軽快な口当たりが現実味を帯びさせます。

文句なしに旨い。

そして、期間限定の牡蠣フライ。レギュラーメニューがいくら美味しくても、こういう時季ものをないがしろにするお店って少なくないんですよね。せっかくの季節を感じさせるメニューなのに、「とりあえず入れておくか」的なのは残念。

でも、ぺいざんは安心ですよ。

1つ1つが大ぶりで食べ応え十分。噛みしめたときの磯の風味、ミルク感。秋冬はやっぱり牡蠣フライなんだよなぁ。

ソースもいいけど、やっぱり牡蠣フライはタルタルですよね。タルタルソースを備えて神となったエビフライにも注目です。

 

2回目の訪問はエビフライの吸引力に抗えず・・・洋食メニュー3銃士編

f:id:marurinmaru:20200224171255j:image

2回目の訪問は前回のエビフライの美味しさが忘れられず、3傑揃った④の定食を選択しました。

なるほど、牡蠣フライだったからタルタルソースと辛子があったんですね。エビフライの場合はマヨネーズ、と。

エビフライは抜群に美味しくて、近所にあったら2日に1回は食べたいくらいです。

そしてお店の売りと推測されるハンバーグ。

まず柔らかさに驚きます。「これ、焼いてるんだよね?」というレベルに柔らかいです。それでいて中身はみっちり。肉汁がとめどなく溢れます。

肉が非常に風味深いというか、ブラックペッパーよりもナツメグをはじめとしたスパイスを感じる清涼感溢れる味わいです。デミソースの大正義。上に載っているフライドオニオンの食感も嬉しいですね。

ご飯が進む進む。たっぷりのお新香も優しい味わいの味噌汁も美味しい。

ぺいざんの定食に外れなしを確信した瞬間である。

 

3回目の訪問は黄金比に感動する・・・神々の黄昏編

f:id:marurinmaru:20200224171257j:image

3回目はカツカレーの大盛り。

前回隣のおじさんがカレーに白身魚フライをトッピングして、かつ、ビールを注文しているのを見てあまりに美味しそうだったので、カツカレーの大盛りにしてみました。

この黄金比、ピラミッド建築でしか見たことないぞ。

食べる前から分かります。もう旨い。

ちなみにビビッドな赤い福神漬けは大ぶりの容器に入って別に供されて、自由に添えることができます。

カレーは一見具がないように見えますが、野菜類はほぼ形を失って溶け出してはいるものの、牛肉は驚くくらいの密度で犇めいており、満足感を刺激します。

唐辛子的な辛さはあまりなく、ハンバーグのときと同様スパイシーな風味を感じつつ、とろみもあって家庭的な部分も垣間見える懐かしい味です。

そして、カツカレーのもう一人の主役・トンカツ。これ、300円で提供したらダメなやつですよ。破格すぎ。

衣のサクサク感といい、豚肉のしっとり艶感のある食感といい、優しい脂の広がりといい、文句なし。

最高でございます。

これでいいのだ。これがいいのだ。

何を出されても美味しく食べられる安心のお店でした。

 

まとめ

短期間に3回訪問して、なお底の見えてこない洋食屋ぺいざん。供される料理が抜群に美味しいというのもありますが、居心地のいい空間、店員さんの気配りを感じてふらっと足を伸ばしてみたくなる魅力をひしひしと感じました。

こんなに美味しい料理を食べたら赤塚不二夫先生の創作意欲が高まるのも納得です。

自分のお気に入りスポットとして隠れ家にしておきたい気持ちもありますが、さらに多くの人の目に触れて大繁盛してほしいという気持ちもあるので、ここで紹介させていただいた次第です。