うたかたラジオ

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リメイクされた聖剣伝説3、『トライアルズオブマナ』は制作陣の愛ゆえにレトロであり続けたという推測

先日発売された『聖剣伝説3TRIALS OF MANA』をクリアしましたので、原作『聖剣伝説3』と比較しつつシステム周りのことを書こうと思ったのですが、書きたいことが多すぎて・・・。

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それらは裏ボスや周回要素を十分に堪能してから考察を深めていくことにして、今回は別の視点。

25年経ってリメイクされた作品を通して、「当時と現代で聖剣伝説3に求められるものは何なのか」という点について書いていこうと思います。

なぜこのタイミングで語るのか

SFCの『聖剣伝説3』はもちろん、WiiのVC、Switchの『聖剣伝説コレクション』を通して何度も何度もクリアするほどに思い入れのあるゲームのリメイクなので、発売前の期待も大きかったです。

www.utakata-radio.com

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そして、実際にプレイしてみて最新グラフィックで描き直された聖剣伝説3の世界を縦横無尽に表情豊かに駆け回る主人公やモンスターにいちいち感動して、隅々まで探索したくなってクリアまでに想定外の時間がかかってしまいました。

リメイクとして大成功というか、よくぞここまで当時の世界観を大切に、愛のこもったリメイクをしてくれたものかと感謝の気持ちでいっぱいです。

ただ、一方で「『聖剣伝説3TRIALS OF MANA』が初の聖剣伝説シリーズの人はどう感じたのか」が非常に気になるところでもありました。

そうなのです、恐らく当時聖剣伝説3をプレイされていて、最新のゲームにも触れている方は感じたと思うですが、古いんですよね。

そこかしこに漂うレトロ臭というか、昔のゲームを味付け控えめに調理したときの粗削りな感じ。

自分のような原作を愛する人間にとっては多くを受け入れられる出来に仕上がっていると思う反面、新規ユーザーを取り込めるかというと難しいと思うんですよ。

以下で具体的に古さを感じた点とそれに対する制作側の配慮を簡単に書いていこうと思います。

 

①レベリング(経験値稼ぎ)

本作は全体的に難易度低めで、主人公のレベルも非常に上がりやすく、新システムであるアビリティで戦闘を優位に進めることができます。

原作では1回目のクラスチェンジができるようになってから相当地道なレベリングをしていかないと、タイミングがかなり後ろにずれ込んでしまうんですよね。

しかし、本作では道中のモンスターを回避せずに進んでいるだけでもクラスチェンジできるようになった時点で条件であるレベル18に到達しているか、あるいは手前のプレイヤーが多かったのではないでしょうか。

もっと言えば、2回目のクラスチェンジができるようになったタイミングでレベルは条件の38に到達しそうだけれど、もう一つの条件のアイテムがないという方も多かったはず。

それだけレベルが上がりやすく設定されているんですよね。恐らく制作側が❝サクサク物語を進められるように❞配慮した結果だと思います。

現代はゲームと競合する娯楽も多いですし、苦行のようなレベリング作業を強いられたら途中で投げてしまうプレイヤーも多いでしょう。最近のゲームはDLCで経験値アップなんていうのもざらですしね。

「ゲームに時間をつぎ込んでもらう」よりも「最後まで通してプレイしてもらう」ことに重点を置いているのかなと。

レベリング自体が古くなってきている気がします。レベルの概念はそのままに、効率的な抜け穴を用意していくのが主流になっていくのかなとも思います。

 

②アビリティ

本作の目玉の一つのアビリティシステム。他のゲームでもよく見られる、レベルアップでアビリティポイントを入手→ポイントを任意に振り分けてアビリティを習得するというものですね。

最近のゲームだと、スキルツリー形式で先のスキルを習得するために前提のスキルを取らなければならないとか、振るポイントによってスキル自体の倍率が上がったりするようなタイプが主流かもしれません。

そういう意味では本作のアビリティは最古の形であり、スキルを取得するためにポイントを振り切るかどうかという選択の余地のないものです。

恐らくこれをスキルツリーの形式にして、「ヒールライトは全振り安定」「ティンクルレインは1振りで充分」「マインドアップは4振りで止めよう」というのは❝聖剣伝説らしくない❞❝リメイクというか別ゲー❞になると判断して避けた気がするのです。

新しく、複雑にし過ぎてしまわないように配慮した結果、中途半端な古いものに見えるといった感じです。

 

③UI周り

個人的にリングコマンドは大好きですし、聖剣伝説の要の部分だと思うのですが、やはりこれもレトロ感を拭えないですね。

可愛らしくてポップな見た目のリングコマンドですが、初見の方は「ふーん、珍しいかな」くらいにしか思わないような気がしてならないです。

あと、戦闘ですね。原作と比べたら天と地ほどの自由度の差があるのですが、いかんせんできる所作が少なくて、単調になってしまいます。何がとは言わないですが、初期の頃のPS2を彷彿とさせるレトロさを感じさせます。

NPCに話しかけるときに一呼吸置かないと殴ってしまうあたりもレトロ。

 

④ボイスの弊害

ボイスがついたことは非常に喜ばしいところですが、原作に忠実であるあまりに言葉足らず感が否めないですね。

文字だけだったからこそ妄想できる空白が存在したのに、ボイスで語りつくしてしまうと、「それだけなのか・・・」「切り替え速くない?」と違和感を感じるような。

ただ、あまり原作から離れた言葉を追加しまくってしまうと、それはそれで世界観を壊してしまう気がします。

昔のものにそのままボイスをつけたらアカンのかもしれません。

 

⑤その他細かな点

弱攻撃ボタンがAで、NPCに話しかけるのもAなので、通りすがりに話しかけようとすると慣性が働いて殴りかかってしまいます。一時停止してから話さないとね。

歩いている途中で会話が発生した場合、建物等に入ると会話が中断されるのですが、また最初からリピートされるとか。

上でも書きましたが、基本的にキャラクターの葛藤が見られず、「どうする?」→「もちろんやる!」と切り替えや判断が早くて軽薄に見えてしまうところ。

 

原作に忠実にあろうとすればするほどに深まってしまう溝と、聖剣らしさを追い求めつつ新しさを追加することの難しさを感じます。

改めて強調しますが、僕は自分の大好きな聖剣伝説3が25年の時を経て最新ハードで流麗で活き活きと、当時の“らしさ”を残しつつ正統進化した現場に大変満足していますし、ここを起点に新作も期待したいなーと思っているところです。

この記事ではダメ出し気味なことを書きましたが、BGMもグラフィックもシステム周りも良い点はたくさんあるので、それは別記事で書いていこうと思っています。

 

まとめ

ちょっと言葉足らずで不便でレトロチックかもしれないけど、素材の味を活かした良リメイクなんだぞ、ということを伝えたかっただけの記事でした。

みんな、トライアルズオブマナやろうぜ!

 

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