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【『 アントマン&ワスプ』ネタバレ感想】Marvelといふもの(参)

先日、Marvelシリーズの『アントマン』の記事を書きました。 

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流れに乗って『アントマン&ワスプ』を観た感想を書いていきたいと思います。

今回の記事はネタバレありですので、これから視聴予定という方はご注意いただくようお願いします。

また、『アントマン』を視聴済みであることを前提に進めますので、「観たけど内容忘れちゃったよー」という方もそうでない方も上に挙げた記事から読まれることをお勧めします。

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あらすじ

またこの人捕まってる・・・

前作『アントマン』では、主人公であるスコットが3年前に犯した窃盗の刑期を終えて、晴れて自由の身になるところからストーリーが始まるが、今作では何故か2年間の自宅での軟禁生活があと3日で終わるというタイミングで物語は幕を開ける。

この軟禁生活は、時系列的には『シビル・ウォー』という事件に起因するものであるが、これを観ていないため詳細はよくわからない。

どうやらキャプテン・アメリカに何らかの助力をしたことにつきFBIに目をつけられて、彼らの保護観察のもと2年間の軟禁生活を強いられているらしい。

2年もの間引きこもっていると、手品、室内バスケ、長風呂、ドラム、愛娘キャシーと遊ぶための室内アトラクション作り等ひとり遊びのプロと成り果てていたが、彼はもうすぐこの長い軟禁生活から解放されることを心待ちにしていた。

 

ジャネット救出作戦

一方、初代アントマンであり天才科学者のハンクと娘のホープは、以前スコットが量子世界から奇跡の生還を果たしたことをきっかけに、30年前スコットと同じく量子世界に消えたジャネットを救出すべく研究を続けていた。

その結果、量子世界へ繋がるトンネルを生み出し、起動実験を行なっていたところ、2年間絶縁状態にあったスコットから連絡が入る。

彼の電話の内容は、「再び量子世界へ飛び込む夢を見た」というものである。

これを聞いたホープはスコットを昏睡状態にして強引に研究所に連行する。

彼の夢の話を聞けば聞くほどに、30年前のジャネットの記憶に繋がることが明白になり、ハンクとホープはトンネルの起動実験を行なったことによりスコットとジャネットの精神が干渉し合ったことを確信する。

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2年前のスコットの独断によりFBIから追われる身となった親娘は彼を許せずにいたが、ジャネットを救出するためには彼の力が必要不可欠であることから、再びスコットを仲間に加えることに。

 

新たな敵

トンネルを完成させるには、あるパーツが必要であり、これを手に入れるためにホープがブラックマーケットのディーラーであるバーチと接触する。

バーチはホープの正体に気づいており、抗争に発展するが、これを前作『アントマン』の最後に出てきたワスプのスーツを着たホープが撃退する。

ここで第三勢力の登場。物質をすり抜ける能力を持ち、透明になることもできる“ゴースト”がパーツを持ち去ろうとする。

これを防ごうとワスプ(ホープ)とアントマン(スコット)が応戦するも消える相手には攻撃が効かず、ゴーストはパーツと縮小されたキャリーバッグ大の研究所ごと消えてしまう。

 

量子実験の犠牲者

途方に暮れるハンクは研究所を取り戻すために、かつて彼の研究のパートナー、研究の方針が原因で仲違いし絶縁状態にあったビルに協力を要請することに。

当然最初は喧嘩腰であったが、なんとかビルの力添えにより研究所の場所を割り出すことに成功する。

スコット、ハンク、ホープは研究所を持ち出す(ミニチュアサイズということを忘れてしまうと日本語的におかしいけれど)ために建物に侵入するが、ゴーストに為す術なく三人は拘束されてしまう。

このゴーストの正体はエイヴァという女性であり、生まれつき透過能力があったのではないという。

彼女の父親が進めていた量子実験の最中に発生した事故により両親を失い、彼女自身も事故の影響で体を組成する量子エネルギーに異常が生じたことが全ての始まりだ。

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この身体は生命活動に逆行するものであって、このまま放置し続ければ彼女は近いうちに死ぬ。

これを回避するためには、量子の世界に消えたジャネットのエネルギーを抽出することが必要不可欠であるため、彼女はまさに死に物狂いでハンクの研究所を奪取したのだ。

 

三つ巴の闘争

ジャネットを元の世界へ連れ戻したいハンクをはじめとした主人公組。

ジャネットのエネルギーを抽出して、普通の人間の暮らしをしたいエイヴァ。

そして、最先端の科学技術を略奪したい闇商人のバーチ。研究所をめぐる三つ巴の闘争が始まった。

 

 

総評

前作をさらに上回る完成度

今作もシリアスとユーモラスのバランスが程よく、最後まで目が離せない展開の応酬である。

『アントマン』のレビューで、「テンポが良すぎて、逆に単調に感じる」というようなことを書いたが、その欠点を見事に昇華させ、次の展開にハラハラドキドキさせる話の運びのうまさが光る。

小さくなれるなら大きくもなれる(暴論)

前作では等身大⇄1,5cm、おまけに亜原子というように小さくなる方面だけを扱っていたが、今作では「膝丈くらいの小さな状態」やウルトラマンのような巨大化をするシーンも登場し、幅の広さを感じる。

最初こそスーツの故障で急に大きくなったり小さくなったりしていたが、ラストの方では割と自由自在にミクロ化・マクロ化を操っていたように思う。

原子間の距離を操るのだから、大きくなってもおかしくはないが、「そういうパターンもあるのかー」と感心してしまった。

勧善懲悪とはまた違う戦いの形

実は『アントマン&ワスプ』を観るにあたって、事前にPVを見たりはしなかったので、スコットとホープがそれぞれ2代目アントマンと2代目ワスプになって前作と同じように悪の組織と戦うものと思っていた。

確かに対バーチについては、前作のダレンに通じる部分があるが、エイヴァに至っては「死にたくない」という人間の生存本能に従った悲壮感漂う動機が介在しているので、『勧善懲悪』という言葉で片付けきれない部分がある。

初代アントマン奮起

また、スコットとホープが爽快なアクションと縮小拡大を巧みに操るコンビプレー・頭脳プレーが物語の大半を占めることになるが、初代アントマンであるハンクが相棒である初代ワスプであり妻のジャネットを救出しに単身で量子世界に飛び込んで行く姿がカッコいい。

偏見であるが、天才科学者という存在は家庭を顧みずに科学の発展のみに注力しているようなイメージである。しかし、ハンクは違う。いや、過去への償いか。

娘に対しての愛情はもちろん、量子の海に消えてしまった妻を想ってまっすぐ進む人間臭さが激情となって表に現れ、老体に鞭打って命懸けで初代アントマンとして最難関の救出計画を成功させるという熱過ぎる展開。

初代アントマン&ワスプと2代目アントマン&ワスプの物語なのだ。

家族の愛は量子の世界を超える

ハンク、ジャネット、ホープ。スコットとキャシー。ビルとエイヴァ(正確には家族ではないが、家族のような信頼関係が築かれている)。

この三組の家族は境遇も考え方も繋がり方も様々であるが、牢獄の中でも、生存装置の中でも、信頼関係でも、兄弟のような関係でも、量子の世界でさえも等しく家族愛で結ばれているというメッセージが伝わってくるようだ。

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ルイス劇場のはじまりはじまり

そして、忘れてはいけないのが、魅力的過ぎる脇役の存在。

スコットの悪友の三馬鹿(現在は侵入盗の経験を活かして警備会社を設立しているのがブラックジョーク的)の中でもルイスが群を抜いてストーリーに絡んでくる。

発する言葉や挙動、そのどれもが面白おかしく、シリアスなシーンにコメディという清涼剤を与えてくれる。

その最たるものが、劇中でルイスがバーチの手下からスコットの居場所を問い詰められるシーンだ。

おバカだけど義理堅いルイスは頑として口を割らないが、注射器で注射されると何でも正直に話したくなってしまうお薬を目の前に出され、『自白剤だ!』『いや、自白剤じゃないぞ』という問答を繰り返すのはもはや漫才である。

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そして、身体を拘束され、例の注射をされてしまう。

本来であれば絶望的でシリアスなシーンなのであるが、饒舌になったルイスが語り出すのは刑務所内でのスコットとの出会いだ。いやいやいや、何語っとんねん。

スコットとの思い出が卒業写真のようにパラパラパラ・・・。バーチさんイライラ。

それでも饒舌に喋り続けるルイス。いちいちエピソードが面白く、あの早口でまくしたてるテンポがたまらない。最後に普通にスコットの場所聞き出せちゃうし。

ルイスは主人公ばりのカーチェイスもこなすし、普通の人間なのに人間離れしたラックと身体能力を持っている。

ルイスの「こいつの何とかして暮らそう感」は異常。もはや主人公じゃん。

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登場人物のキャラがしっかり立っていて魅力的で印象に残るのがアントマンの特徴だろう。台詞もいちいち小粋なのが花を添えている。

大円団!ハッピーエンd・・・

最後に結末についてであるが、悪役であるバーチ一味は逮捕され、ハンクとホープはジャネットと30年ぶりの再会。

エイヴァは量子の世界から帰還したジャネットの特殊能力で回復し、スコットは保護観察期間中に家から抜け出したことをFBIに悟られずに無事解放。

「パパのパートナーはホープだね」とキャシーが言い、キャッキャうふふの終幕。勧善懲悪。大円団。ハッピーエンドの極みである。

 

からの、救いようのない最悪のシーンで本当の終幕。

 

衝撃的だった。次回作が気になり過ぎる。すっかりアントマン、ひいてはMarvelの世界観に魅了されてしまった。

 

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